楽天モバイルは、2020年に自社回線による携帯キャリアサービスを本格開始した後発のMNOです。そのため4G中心だった初期には、NTTドコモ・au・ソフトバンクの大手3社と比べて基地局や利用可能な周波数、エリアの広さなどで不利な面がありました。
では5G時代になり、その差は縮まったのでしょうか。2026年時点の第三者による実測データまで確認すると、楽天モバイルは5Gを含む通信品質を大きく改善し、一部の指標では大手3社を上回る水準まで成長しています。一方、エリアの広さや通信の安定性などでは現在も差が残っている、というのが実態に近い評価です。
つまり「5Gになったから4社がほぼ同じになった」とまでは言えませんが、「楽天モバイルは大手3社にかなり近づいたのか」という意味なら、指標によっては明確に近づいています。この記事では2026年の最新測定データを中心に、4G時代から何が変わったのかを解説します。
- 結論:楽天モバイルは差を縮めたが、大手3社と完全に同等ではない
- 5Gだけを見ると楽天モバイルは意外に競争力が高い
- 4G時代より差が縮まった理由は「5Gだから」だけではない
- 楽天モバイルは5G Sub6エリアも拡大してきた
- ただし「5G表示=大手3社との差がなくなった」ではない
- 動画視聴では楽天モバイルとドコモがほぼ同水準という結果もある
- ゲーム・ライブ動画ではauやソフトバンクが優勢
- それでも大きな差として残っているのがカバレッジ
- プラチナバンド獲得は4G・屋内エリア改善に重要
- 楽天モバイルの強みはアップロード速度
- 5G時代は後発キャリアにも追いつく余地がある
- 「楽天が使えるか」は全国ランキングより生活圏で判断した方がよい
- 4G時代と5G時代の楽天モバイルをどう評価すべきか
- まとめ:楽天モバイルは5G時代に大手3社との差をかなり縮めたが、エリア差は残る
結論:楽天モバイルは差を縮めたが、大手3社と完全に同等ではない
楽天モバイルの現在地を一言で表すなら、「通信体験の差はかなり縮まったが、カバレッジを含めた総合的なネットワーク環境ではまだ差がある」となります。
独立系モバイル分析会社Opensignalが2026年4月に発表した日本市場レポートでは、楽天モバイルは「Upload Speed Experience」と「5G Upload Speed」の両方で単独1位を獲得しています。楽天モバイルの総合アップロード速度は15.8Mbpsで、auの9.1Mbps、ソフトバンクの8.7Mbps、NTTドコモの7.6Mbpsを上回りました。[参照] Opensignal Japan Mobile Network Experience April 2026
一方で総合ダウンロード速度はソフトバンク65.1Mbps、au60.7Mbps、NTTドコモ55.7Mbpsに対して楽天モバイル39.6Mbpsでした。またカバレッジ関連ではNTTドコモが総合・5Gの両方で最も広い地理的カバレッジを獲得しています。このように、項目によって順位が大きく異なります。
5Gだけを見ると楽天モバイルは意外に競争力が高い
楽天モバイルについて「後発だから5Gも大手3社よりかなり遅い」と考えるのは、現在の実測データとは必ずしも一致しません。楽天は5Gの一部指標で大手3社と十分競争できる水準に達しています。
例えば2025年10月のOpensignal調査では、楽天モバイルは5Gアップロード速度で24Mbpsを記録して全国単独1位でした。また地域別では、5Gダウンロード速度について8地域中4地域で単独1位を獲得しています。[参照] Opensignal Japan Mobile Network Experience October 2025
さらに2026年4月の調査でも楽天モバイルは5Gアップロード速度1位を維持し、Opensignalは楽天について、インフラ投資の継続に伴い5Gカバレッジと5Gの体感指標が前回調査から改善したと評価しています。少なくとも「楽天の5Gは大手3社にまったく歯が立たない」という状態ではありません。
4G時代より差が縮まった理由は「5Gだから」だけではない
ここで重要なのは、楽天モバイルが大手3社との差を縮めている理由を、単純に「4Gから5Gになったから」と考えないことです。楽天自身の基地局整備が進み、ネットワーク全体が成熟してきたことも大きく影響しています。
楽天モバイルはサービス開始時点では全国に十分な自社基地局を持っておらず、KDDIのローミングを利用しながら自社4Gエリアを拡大していました。その後、基地局を急速に整備し、自社回線で利用できる地域を増やしています。
そのため現在の楽天モバイルとサービス開始直後の楽天モバイルを比較したときの違いは、「5Gという新しい通信規格になった効果」だけではありません。数年間にわたる基地局増設、ネットワーク最適化、周波数利用、設備更新などが積み重なった結果として見る必要があります。
楽天モバイルは5G Sub6エリアも拡大してきた
5Gの性能を生かすうえで重要なのがSub6と呼ばれる周波数帯です。楽天モバイルもSub6を利用した5Gエリアの拡大を進めています。
Opensignalの2025年4月日本市場レポートでは、楽天モバイルが関東地方でSub6を利用した5Gカバレッジを2倍以上に拡大したことが取り上げられています。[参照] Opensignal Japan Mobile Network Experience April 2025
5Gエリアが広がれば、5G対応スマートフォンを持っていても実際にはほとんど4Gにつながるという状態が改善します。楽天モバイルの5G体験が近年改善している背景には、こうした実際の5Gネットワーク整備があります。
ただし「5G表示=大手3社との差がなくなった」ではない
スマートフォンのアンテナ表示に「5G」と出ていれば4社とも同じ通信環境になる、というわけではありません。同じ5Gでも利用する周波数、基地局との距離、基地局の混雑状況、バックホール、端末、電波環境などによって実際の速度や安定性は変化します。
また日常利用では常に5Gへ接続しているわけではありません。自宅では4G、駅では5G、地下では再び4Gというように切り替わるため、キャリアの評価では5G単体の最高速度だけでなく、4Gを含めた総合的な体験を見る必要があります。
2026年4月のOpensignalデータでも、楽天モバイルはアップロード速度では全国1位ですが、総合ダウンロード速度は39.6Mbpsで4社中最も低い結果でした。この数字だけで個々の場所の速度を予測することはできませんが、「5G性能が改善した=総合性能でもすべて1位」という意味ではないことが分かります。
動画視聴では楽天モバイルとドコモがほぼ同水準という結果もある
一方、実際のスマートフォン利用で重要な動画体験では、楽天モバイルが大手3社から大きく離されているわけではありません。
2026年4月のOpensignalのVideo Experienceでは、auが74.1、ソフトバンク73.6、楽天モバイル71.1、NTTドコモ70.9でした。楽天モバイルとNTTドコモは統計的に同率3位とされています。4社すべてが「Very Good」の評価範囲でした。[参照] Opensignal 2026年4月調査
つまりYouTubeなどの動画を普通に見るという用途では、「楽天だから大手3社より明らかに使えない」と単純に評価できるほどの差ではありません。サービス開始初期のイメージだけで現在の楽天モバイルを判断すると、実態とのずれが生じる可能性があります。
ゲーム・ライブ動画ではauやソフトバンクが優勢
通信速度だけでは分からない差もあります。2026年4月のGames Experienceでは、au88.2、ソフトバンク86.0、楽天モバイル82.1、NTTドコモ81.5という結果でした。
Live Video Experienceでもau70.5、ソフトバンク69.6、楽天モバイル66.4、NTTドコモ66.2となっています。楽天モバイルはドコモと近い水準ですが、auやソフトバンクが上位です。
このように現在は「楽天対大手3社」という単純な構図ではなく、評価項目によって順位が入れ替わります。ドコモなら全項目で楽天より上、楽天なら全項目で大手より下、という関係ではありません。
それでも大きな差として残っているのがカバレッジ
楽天モバイルを大手3社と比較するとき、現在も特に注意したいのがカバレッジです。Opensignalの2026年4月調査では、NTTドコモが「Coverage Experience」と「5G Coverage Experience」の両方で単独1位となり、日本の人口が存在する地域において4社中最も広い地理的カバレッジを持つと評価されています。
カバレッジは単なる人口カバー率とは異なります。人口の多い都市を広くカバーすれば人口カバー率は非常に高くできますが、山間部、地方の道路、郊外、建物内部などまで含めた「どこでもつながりやすいか」は別の問題です。
楽天モバイルが都市部で快適に使えるようになったからといって、全国すべての場所でドコモ・au・ソフトバンクとの差が解消されたわけではありません。地方へ頻繁に行く人、山間部を走る人、仕事で通信不能を極力避けたい人は、生活圏のエリアを個別に確認する必要があります。
プラチナバンド獲得は4G・屋内エリア改善に重要
楽天モバイルにとって大きな弱点だったのが、サービス開始当初にいわゆる「プラチナバンド」を自社で持っていなかったことです。低い周波数帯は比較的遠くまで届きやすく、建物などの障害物の影響を受けにくいため、屋内や郊外のカバレッジを改善するうえで重要です。
楽天モバイルは700MHz帯を獲得し、2024年6月から商用サービスを開始しました。これは5G専用ではなく4G LTEとしての展開ですが、楽天のネットワーク全体の弱点を改善するうえで重要な変化です。
ここから分かるのは、大手3社との差を縮めるために必要なのは5Gの高速化だけではないということです。日常利用では「5Gで何百Mbps出るか」と同じくらい、「建物の奥や郊外でも通信が切れないか」が重要です。楽天モバイルの今後を評価するときは、700MHz帯の整備状況も重要になります。
楽天モバイルの強みはアップロード速度
2026年現在、楽天モバイルが明確に強い項目として挙げられるのがアップロード速度です。Opensignalでは総合アップロード速度と5Gアップロード速度の両方で全国単独1位となっています。
アップロードは、スマートフォンからクラウドへ写真や動画を送る、SNSへ動画を投稿する、ライブ配信をする、ビデオ会議で自分の映像を送信するといった場面に影響します。
例えば「スマートフォンで動画を撮影してYouTubeやクラウドへ頻繁にアップロードする」「屋外からライブ配信する」といった利用者にとっては、ダウンロード速度だけを比較するよりアップロード性能も重要です。この点では楽天モバイルが大手3社を追いかける立場ではなく、むしろ現在の実測データ上では先行しています。
5G時代は後発キャリアにも追いつく余地がある
楽天モバイルにとって5G時代が有利に働く面もあります。既存3社は長年にわたり2G・3G・4Gとネットワークを継ぎ足してきましたが、楽天は比較的新しい設備・ネットワーク設計を中心に構築できる後発事業者です。
楽天モバイルはクラウドネイティブなネットワークやOpen RANなど、新しいネットワーク技術を積極的に採用してきました。2026年のOpensignalレポートでも、Nokiaのクラウドネイティブなネットワーク機能がRakuten Cloud上で商用稼働し、4G・5Gサービスの自動化やネットワーク耐障害性向上を支えていることが取り上げられています。
ただし、新しい技術を採用していることと「利用者にとって必ず最もつながる」ことは別問題です。携帯電話では技術方式だけでなく、基地局数、周波数資産、設置場所、エリア設計、混雑対策など物理的なインフラも非常に重要だからです。
「楽天が使えるか」は全国ランキングより生活圏で判断した方がよい
全国平均の通信品質が向上していても、個人が体感する品質は地域によって大きく異なります。自宅、勤務先・学校、通勤路、よく利用する駅や店舗などで楽天モバイルの電波が良ければ、本人にとっては大手3社との差をほとんど感じないこともあります。
逆に全国平均では高評価でも、自宅の部屋だけ電波が弱ければ毎日の満足度は下がります。特に鉄筋コンクリートの建物、地下、山間部、基地局から離れた地域ではキャリアごとの差が出やすくなります。
そのため乗り換えを検討する場合は、「楽天は5Gだから速い」「ドコモなら必ずつながる」といったブランド単位の判断だけではなく、公式エリアマップや身近な利用者の状況、実際の生活圏での通信状態を確認するのが確実です。
4G時代と5G時代の楽天モバイルをどう評価すべきか
楽天モバイルがMNOとして本格参入した2020年前後と現在では、ネットワークの成熟度が大きく異なります。当初は基地局整備の途中で、パートナー回線への依存も大きく、プラチナバンドも自社保有していませんでした。
現在は自社基地局の整備が進み、5G Sub6エリアも拡大し、700MHzのプラチナバンドも運用しています。第三者の実測データでも5G性能の改善が確認され、アップロード速度では大手3社を上回っています。
したがって「4G時代より大手3社との環境差を縮めたか」という問いについては、「はい。ただし5G化だけで追いついたのではなく、数年間のネットワーク整備全体によって差を縮めており、カバレッジや安定性を含めるとまだ完全に同等ではない」と整理するのが最も実態に近いでしょう。
まとめ:楽天モバイルは5G時代に大手3社との差をかなり縮めたが、エリア差は残る
楽天モバイルは5G時代に入り、NTTドコモ・au・ソフトバンクとの差を確実に縮めています。特に5Gネットワークの拡大は進んでおり、2026年のOpensignal調査では総合アップロード速度と5Gアップロード速度で楽天モバイルが全国単独1位となりました。
動画視聴などの体感品質でも大手から極端に離れているわけではなく、用途によっては大手3社との差をほとんど感じず利用できる地域も増えています。「楽天モバイルは後発だから通信品質も常に4位」という評価は、2026年現在の実測結果とは一致しません。
一方、総合ダウンロード速度では大手3社が楽天を上回り、カバレッジではNTTドコモが強さを維持しています。auは通信の一貫性や信頼性、動画・ゲームなどの体感指標で強く、ソフトバンクもダウンロード速度や5Gへ接続している時間の割合で優位です。楽天がすべての面で大手3社へ追いついたとはまだ言えません。
そして差が縮まった理由は「5Gになったから」だけではありません。自社基地局の増加、Sub6の拡大、700MHzプラチナバンドの導入、ネットワーク最適化などが同時に進んだ結果です。5G時代の楽天モバイルは、大手3社に対して単純な下位キャリアではなく、項目によって勝ち負けが変わるところまで成長した一方、「どこでもつながる」というカバレッジ面では引き続き整備途上と評価するのが妥当です。


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