2005年~2007年ごろに建てられた戸建て住宅では、各部屋に電話線や有線LANは配線されているものの、現在よく見かける「光コンセント」が最初から設置されていないことがあります。そのため、「2006年ごろはまだ光回線を住宅へ引けなかったのではないか」「2010年ごろになって初めて光コンセントが普及したのではないか」と疑問に感じるケースがあります。
しかし、歴史を確認すると、一般家庭向けFTTHは2001年にすでに本格提供が始まっており、2005~2007年には戸建て住宅でも光ファイバー回線を利用できました。NTT東日本・NTT西日本は2001年8月に「Bフレッツ」の本格提供を開始しており、2005年には戸建て向けの光回線やひかり電話も積極的に展開しています。NTTグループ・光ファイバー提供の歴史[参照]
一方、2006年前後はADSLの契約者数がまだFTTHを大きく上回っていた時代でもあり、現在の新築住宅のように「将来の光回線を前提として配管や情報分電盤を設計する」という考え方がすべての住宅で標準だったわけではありません。つまり、まさにADSLから光へ急速に移行していた時期であり、住宅設備側の対応にはかなり差があったと考えるのが実態に近いでしょう。
- 結論|2005年・2006年・2007年でも戸建てに光ファイバーは引けた
- 2005年には戸建て向け「ひかり電話」も始まっていた
- では2006年は「ADSL全盛期」だったのか
- 2006年には「光ローゼット」もすでに存在していた
- 2006年築の家に光コンセントがないのは珍しいことではない
- 新築時に光コンセントを設置しなかったこと自体は大きな失敗ではない
- 重要なのは「光コンセントの有無」より光ファイバーを通すルート
- 2006年築で電話線があるなら既存配管を使える可能性がある
- 「構造上引き込めない」と言われた場合も理由を分けて考える
- エアコンダクトや壁穴から後付けできるケースもある
- 既存の有線LANがある家はむしろ活用しやすい
- 光コンセントとLANコンセントは役割が違う
- 2007年当時に現在ほど光回線を想定していなかったという話は半分正しい
- 2010年から突然「光コンセント時代」になったわけではない
- 2006年築だから光回線工事ができない、とは考えない方がよい
- 本当に引き込めない場合は住宅業者と通信事業者の両方へ相談する
- 工事できないと言われたときに確認したいポイント
- 具体例|2階まで光を通せなくても1階+既設LANで使える
- まとめ|2006年はADSLから光への「移行期」だが、戸建てFTTHも光接続設備もすでに存在していた
結論|2005年・2006年・2007年でも戸建てに光ファイバーは引けた
2006年ごろでも、一戸建て住宅へ光ファイバーを引き込むこと自体は可能でした。「当時は戸建て向けFTTHが存在しなかった」というわけではありません。
NTT東日本・NTT西日本は2001年8月から一般家庭向けFTTH「Bフレッツ」を本格提供しています。NTTグループの公式沿革にも、2001年に一般家庭向けの光通信としてBフレッツを開始したことが記録されています。NTTグループの歩み[参照]
NTT西日本でも2001年8月のBフレッツ開始時点から「一戸建て住宅等」の工事形態が案内されていました。つまり、戸建て住宅への光ファイバー引き込みは2006年より5年ほど前からすでに実際のサービスとして存在していました。NTT西日本・Bフレッツ本格提供開始[参照]
2005年には戸建て向け「ひかり電話」も始まっていた
2005年ごろには、光回線は単に高速インターネットを利用するだけのものではなく、固定電話を光回線へ統合する段階にも入っていました。
NTT東日本は2005年2月1日から、Bフレッツ ハイパーファミリータイプ利用者を対象として戸建て住宅向け「ひかり電話」の提供を開始しています。ハイパーファミリータイプ自体は2004年11月から提供されていました。NTT東日本・2005年のBフレッツとひかり電話[参照]
NTT西日本でも2005年3月には「フレッツ・光プレミアム」が始まっています。したがって2006年に新築住宅を建てた時点では、FTTHは実験的な技術ではなく、すでに一般家庭向けに商用展開されていたサービスでした。
では2006年は「ADSL全盛期」だったのか
「2006年はADSL全盛期だった」という感覚にはかなり根拠があります。ただし、光回線がほとんど存在しなかった時代という意味ではありません。
総務省資料を基にまとめられた経済産業省の統計では、2006年のブロードバンド契約はDSLが約1,424万契約、FTTHが約794万契約でした。2007年にはDSL約1,313万契約に対してFTTH約1,133万契約まで接近し、2008年にはFTTH約1,442万契約、DSL約1,159万契約となり、FTTHが逆転しています。経済産業省資料・ブロードバンド契約回線の推移[参照]
| 年 | DSL | FTTH | 状況 |
|---|---|---|---|
| 2005年 | 約1,448万 | 約464万 | ADSLが圧倒的に多い |
| 2006年 | 約1,424万 | 約794万 | ADSL優勢だが光が急増 |
| 2007年 | 約1,313万 | 約1,133万 | かなり接近 |
| 2008年 | 約1,159万 | 約1,442万 | FTTHが逆転 |
2005~2007年は「光回線がなかった時代」ではなく、「ADSLが主流の座を保ちながら、FTTHが猛烈な勢いで普及していた移行期」と表現するのが適切です。
2006年には「光ローゼット」もすでに存在していた
現在よく使われる「光コンセント」という形の宅内接続設備についても、2010年以降に突然登場したわけではありません。
NTT技術ジャーナルの2006年12月号には、宅内用の「光ローゼット」と、それを改良した「光コネクタローゼット」が掲載されています。記事では従来の光ローゼットと新しい光コネクタローゼットを比較し、光ファイバー宅内工事の作業性や保守性を向上させる技術が紹介されています。NTT技術ジャーナル2006年12月号[参照]
さらに2005年6月には、松下電工がFTTH宅内配線向けの「光コンセント」を展示していた記録もあります。壁に設置し、引き込んだ光ファイバーとONUを光コードで接続するという考え方は、すでに現在の光コンセントに近いものでした。INTERNET Watch・2005年の光コンセント展示[参照]
したがって、「光コンセントという設備は2010年ごろに初めて生まれた」という理解は正確ではありません。ただし、名称、形状、コネクター化、施工方法などは普及とともに発展してきました。
2006年築の家に光コンセントがないのは珍しいことではない
当時すでにFTTHが存在したことと、2006年の新築住宅なら必ず光配線が用意されていたことは別問題です。
2006年はDSL契約者が約1,400万に対してFTTHは約800万でした。電話線を利用してADSLへ接続すれば十分という家庭も多く、設計時点で「各戸へ光ファイバーを先行配線しておく」「光コンセントまで完成させておく」という仕様が全国の戸建て住宅で当然だったとはいえません。
住宅メーカー、施工会社、施主の希望、建築地域、予算などによって設備は大きく異なりました。そのため、同じ2006年築でも、光回線を想定した空配管がある住宅もあれば、電話線だけを通している住宅、LANだけ各部屋へスター配線している住宅などがあります。
新築時に光コンセントを設置しなかったこと自体は大きな失敗ではない
現在の光回線工事でも、必ずしも住宅建築時に光コンセントを設置しておく必要はありません。むしろ通常は、光回線を新規契約するときに通信事業者の工事担当者が光ファイバーを宅内へ引き込み、その場所に光コンセントを設置します。
NTT東日本の現在の戸建て向け工事案内でも、「住宅内に光コンセントが設置されていない場合」は訪問工事を実施し、電柱から光ケーブルを引き込み、室内へ入れた後に光コンセントを設置する流れになっています。NTT東日本・戸建ての光回線開通工事[参照]
つまり、2006年の新築時に光コンセントを付けなかったから、現在になって原則として光回線を導入できなくなるわけではありません。
重要なのは「光コンセントの有無」より光ファイバーを通すルート
後から光回線を引けるかどうかで重要なのは、壁に光コンセントが付いているかではありません。屋外からONUを設置する場所まで光ファイバーを通せる経路が確保できるかどうかです。
NTT東日本の現在の標準的な戸建て工事では、まず既存の電話用配管を使って光ファイバーを室内へ通します。電話用配管が利用できない場合はエアコンダクト、それも利用できない場合は壁に約10mmの穴を開けて引き込む方法が案内されています。NTT東日本・光ファイバーの引き込み方法[参照]
したがって「光コンセントが最初からない=光回線が引けない」という関係にはなりません。既存配管、エアコン穴、外壁への新規貫通などのいずれかが使えれば、後付けできる可能性があります。
2006年築で電話線があるなら既存配管を使える可能性がある
2006年築の戸建てで電話線が壁のモジュラージャックまで配線されているなら、その電話線がどのように施工されているかを調べる価値があります。
電話ケーブルがCD管やPF管などの配管の中を通っていれば、同じ管へ光ファイバーを追加したり、必要に応じて既存線と入れ替えたりできる可能性があります。NTT東日本も、戸建て住宅では通常「既存の電話用配管など共用可能な配管」を利用すると案内しています。NTT東日本・戸建ての導入工事と配線[参照]
一方、電話線が壁内部へ直接固定されていて配管そのものがない、配管が途中で潰れている、急角度で曲がっている、既存ケーブルでいっぱいになっているといった住宅では、同じ経路を使えないことがあります。
「構造上引き込めない」と言われた場合も理由を分けて考える
光回線工事で「引き込めません」と言われた場合、その理由は一つではありません。「光コンセントがないから」というだけではなく、どの段階で工事ができないのかを確認することが大切です。
| 問題 | 考えられる内容 |
|---|---|
| 電柱から家まで引けない | 電柱位置、道路横断、設備、引留め場所などの問題 |
| 外壁までは来られるが室内へ入れない | 配管不通、穴あけ不可、利用できる開口部がないなど |
| 室内には入るが希望の部屋まで行けない | 壁内配管がなく、隠蔽配線できないなど |
| 希望位置に光コンセントを付けられない | 壁内構造、配管経路、施工スペースなどの問題 |
例えば「2階の書斎の壁へ隠蔽配線して光コンセントを付けるのは無理」という話と、「家のどこにも光ファイバーを入れられない」という話では大きく違います。
後者だと思っていても、玄関付近や1階の別室までなら引き込めるということもあります。まず工事担当者へ「どこまでなら施工可能なのか」を具体的に確認することが重要です。
エアコンダクトや壁穴から後付けできるケースもある
電話用配管が使えない住宅でも、それだけで光回線を断念する必要はありません。
NTT東日本は電話配管が使えない場合の工事例として、エアコンダクトを利用する方法や、壁に約10mm程度の穴を開ける方法を案内しています。また別の公式工事案内では、換気扇、通気口、テレビ配線の穴、玄関ドアホンの穴、小窓などを利用する例も掲載されています。NTT東日本・光回線の引き込み例[参照]
もちろん住宅の外壁材、防水処理、断熱層、耐火構造などによっては穴あけが適さない場合があります。施工会社の判断だけで無理に加工するのではなく、必要に応じて住宅メーカーや建築業者にも確認するのが安全です。
既存の有線LANがある家はむしろ活用しやすい
2006年の新築時に各部屋へ有線LANを配線してあるなら、光ファイバーそのものを希望する部屋まで通せなくても、そのLAN設備を活用できる可能性があります。
例えば光ファイバーを1階の電話配管付近までしか引き込めない場合、そこへ光コンセントとONU・ルーターを設置し、既設LANを使って2階の書斎や各部屋へネットワークを分配する構成が可能です。
具体的には「電柱→光ファイバー→1階の光コンセント→ONU→ルーター→既設LAN→各部屋」という接続です。インターネットを利用するうえで、パソコンの横まで光ファイバーそのものを配線する必要はありません。
光コンセントとLANコンセントは役割が違う
光コンセントは、屋外から引き込まれた光ファイバーとONUなどを光コードで接続する場所です。一方、LANコンセントはルーター以降のEthernet通信を各部屋へ届けるための設備です。
| 設備 | 主な役割 |
|---|---|
| 光コンセント | 通信事業者の光ファイバーとONUを接続する |
| ONU | 光信号とEthernetなどの信号を変換する |
| ルーター | 家庭内の端末へインターネット接続を分配する |
| LANコンセント | ルーターから各部屋まで有線LANを届ける |
2006年築の住宅に有線LANがしっかり施工されているなら、光回線を建物のどこか1カ所まで引き込むだけでも、既存設備を生かして快適なネットワークを構築できることがあります。
2007年当時に現在ほど光回線を想定していなかったという話は半分正しい
「2007年当時は現在のような光回線社会を想定していなかった」という説明には、正しい部分と誤解を招く部分があります。
通信業界では、2007年にはFTTHがすでに1,000万契約を超えており、光回線の普及そのものは十分想定されていました。NTT東西のフレッツ光契約数も2004年の約166万から2005年342万、2006年608万、2007年878万へ急増しています。NTT西日本資料・フレッツ光契約数推移[参照]
しかし住宅業界全体で見ると、すべての新築住宅がFTTH専用の空配管や情報分電盤、各部屋への高速LANを標準装備するほど成熟していたとは限りません。住宅設備が通信技術の急激な変化へ追いついていく途中だったという意味では、「時代の谷間」と感じるのも不自然ではありません。
2010年から突然「光コンセント時代」になったわけではない
2010年前後になるとFTTH契約がさらに増え、新築・既築を問わず光配線を目にする機会が増えました。そのため「光コンセントは2010年ごろから始まった」という印象が残っている人もいるでしょう。
しかし、2005年には光コンセントが展示され、2006年のNTT技術資料にも既存の光ローゼットと改良型の光コネクタローゼットが登場しています。したがって、全国一律に「2010年から光コンセント設置開始」と区切ることはできません。
2013年にはNTT東日本が、問い合わせ増加を受けて「光コンセントとは何か」を説明する案内を公開しています。この時点では一体型・分離型の光コンセントが一般利用者向けに明確に案内されていました。NTT東日本・光コンセントについて[参照]
2006年築だから光回線工事ができない、とは考えない方がよい
住宅の築年数だけで光回線の施工可否は判断できません。1980年代や1990年代の住宅でも後付けで光回線を利用している例は多数あり、逆に比較的新しい住宅でも特殊な構造や配管事情によって希望通りに施工できない場合があります。
重要なのは築年ではなく、電柱から建物までの設備状況、外壁から室内への進入口、電話用配管の状態、穴あけの可否、ONUを設置できる場所などです。
NTT東日本も、新築住宅については設計段階から光回線引き込み用配管やONU設置場所、各部屋へのLAN配管を考えておくことを推奨していますが、これは「用意していなければ後付けできない」という意味ではありません。NTT東日本・新築住宅の光配線[参照]
本当に引き込めない場合は住宅業者と通信事業者の両方へ相談する
通信事業者の通常工事で配管を通せない場合でも、住宅側の工事を行えば解決できることがあります。
例えば建築業者や電気工事業者へ依頼して、光ファイバー用の空配管を新設する、詰まった既存配管を調査する、屋外から情報分電盤まで新しい経路を作る、といった方法です。NTT東日本も、建物構造などの理由でNTT側の工事が困難な場合には、利用者側で引き込み口を用意してもらう場合があると案内しています。NTT東日本・戸建て工事の注意事項[参照]
特に高気密・高断熱住宅、特殊な外壁、鉄筋コンクリート住宅などでは、防水・気密・断熱性能を損なわない施工が必要です。通信工事業者と住宅メーカーの双方へ確認した方が安全です。
工事できないと言われたときに確認したいポイント
一度「光は無理」と言われただけで諦める前に、理由を具体的に確認すると別案が見つかる場合があります。
- 電話用配管は存在するか
- 配管が途中で詰まったり潰れたりしていないか
- エアコンダクトから引き込めないか
- 外壁への新規穴あけは可能か
- 希望する部屋以外なら引き込めないか
- 玄関・情報分電盤付近へONUを置けないか
- 既設LANを使って各部屋へ通信を送れないか
- 住宅メーカー側で空配管を追加できないか
特に既設LANがある住宅なら、「光ファイバーをパソコンを置く部屋まで持って行く」という条件を外すだけで工事できるケースがあります。
具体例|2階まで光を通せなくても1階+既設LANで使える
例えば2006年築の2階建て住宅で、電話線は1階リビングにあり、各部屋へLANケーブルが施工されているとします。一方、1階から2階への壁内配管には光ファイバーを追加できない状態だったとします。
この場合、電柱から1階の電話配管を利用して光回線を引き込み、1階に光コンセント・ONU・ルーターを設置します。そしてルーターのLANポートを既設LAN配線へ接続すれば、2階のLANコンセントから有線でインターネットを利用できます。
この構成なら2階まで光ファイバーを通す必要がありません。2006年当時に有線LANを施工していたことが、現在になって大きな利点になるケースです。
まとめ|2006年はADSLから光への「移行期」だが、戸建てFTTHも光接続設備もすでに存在していた
2005~2007年は確かにADSLからFTTHへ主役が入れ替わっていく時期でした。2006年時点ではDSLが約1,424万契約、FTTHが約794万契約でADSLの方が多かったものの、翌2007年にはかなり接近し、2008年にはFTTHが逆転しています。
一方、戸建て住宅向けの光回線そのものは2001年からすでに商用提供されており、2005年には戸建て向けひかり電話も登場していました。光コンセントに近い設備も2005年には展示され、NTTの2006年の技術資料には従来型の光ローゼットと新しい光コネクタローゼットが掲載されています。
したがって、「2006年当時は戸建てに光ファイバーを引けなかった」「光コンセントは2010年から初めて設置できるようになった」という理解は正確ではありません。ただし2006年はまだADSL利用者が多く、新築住宅すべてが将来のFTTHを想定した配管仕様だったわけでもないため、住宅ごとの差は現在より大きかったと考えられます。
また、現在光コンセントがないこと自体は光回線を導入できない理由にはなりません。現在のNTT工事でも、電話用配管、エアコンダクト、必要に応じた壁穴などから光ファイバーを後付けし、その際に光コンセントを設置します。
2006年築の住宅で「構造上引き込めない」と言われた場合は、光コンセントの有無ではなく、どの区間の配線ルートが問題なのかを確認することが重要です。希望する部屋まで光を通せなくても、別の部屋へONUを設置して既設LANを活用できる場合があります。本当に通常工事では不可能なら、住宅メーカーや電気工事業者による空配管の追加も含めて検討すると、導入できる可能性が残っています。


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