2026年現在もっとも広く利用されているクラウドサービスは?AWS・Azure・Google CloudをIaaS/PaaSで比較

クラウドサービス

企業のシステム基盤やWebサービス開発で使われるクラウドには、AWS(Amazon Web Services)、Microsoft Azure、Google Cloudをはじめ、多数の選択肢があります。「現在もっとも広く利用されているIaaS/PaaSはどれか」という問いに対しては、何を利用率の指標にするかで数字は変わるものの、2026年時点で世界のクラウドインフラサービス市場を総合的に見るとAWSが最大手で、Azure、Google Cloudが続くというのが分かりやすい結論です。

ただし、「AWSが1位だから、どんな企業・開発案件でもAWSを選ぶべき」という意味ではありません。Microsoft製品との連携、AI・データ分析、既存システム、開発チームの経験、地域、料金などによって適したクラウドは変わります。

この記事では、2026年の最新市場データをもとにAWS・Azure・Google Cloudの位置付けを整理し、IaaSとPaaSの違いや、実際の開発でどのクラウドを選べばよいのかを解説します。

結論:2026年現在の最大手はAWS、AzureとGoogle Cloudが続く

クラウド市場調査を行うSynergy Research Groupが2026年7月30日に公表した最新データによると、2026年第2四半期の世界クラウドインフラサービス市場におけるシェアは、Amazonが28%、Microsoftが20%、Googleが15%でした。Amazonが首位を維持し、MicrosoftとGoogleが追う構図です。[参照] Synergy Research Group・2026年第2四半期クラウド市場

同調査が対象としているクラウドインフラサービスにはIaaS、PaaS、ホステッドプライベートクラウドなどが含まれています。そのため、「企業が利用する主要なIaaS/PaaSを市場全体で比較したい」という場合には有力な指標になります。[参照] Synergy Research Group・Cloud Infrastructure Services

2025年第2四半期にはAmazon30%、Microsoft20%、Google13%だったため、2026年第2四半期にはAWSが依然トップである一方、Googleのシェアが伸びています。つまり、「AWSが最大手」という状態は続いていますが、クラウド市場がAWS一強へ向かっているというより、AzureとGoogle Cloudも巨大な選択肢として存在する3強市場と理解する方が実態に近いでしょう。

2026年第2四半期のクラウド市場規模は1430億ドル

Synergy Research Groupによると、2026年第2四半期の企業によるクラウドインフラサービス支出は世界で約1430億ドルに達し、前年同期から430億ドル以上増加しました。前年比成長率は43%で、過去8年間でもっとも高い水準とされています。

この急成長を牽引している大きな要因が生成AIです。AIモデルの学習・推論には大量のGPUやデータセンター資源が必要になるため、従来のWebサーバーやデータベースだけでなく、AI計算基盤としてクラウドを利用する需要が拡大しています。[参照] Synergy Research Group

その結果、AWS・Azure・Google Cloudだけでなく、Oracle、CoreWeave、Crusoe、Nebiusなども成長しています。したがって今後は「3大クラウド+用途特化型クラウド」を組み合わせる企業も増える可能性があります。

IaaSとPaaSの違いを簡単に整理

IaaSは「Infrastructure as a Service」の略で、サーバー、ストレージ、ネットワークなどのITインフラをクラウド上で利用する仕組みです。代表例としてAWSのAmazon EC2、Azure Virtual Machines、Google Compute Engineなどがあります。

例えば自社でWebサービスを作る際、物理サーバーを購入してデータセンターへ設置する代わりに、クラウド上で仮想マシンを作ってOSやアプリケーションを動かすのが典型的なIaaS利用です。

PaaSは「Platform as a Service」の略で、インフラだけでなくアプリケーションを実行するためのプラットフォームまでクラウド事業者が提供します。開発者はOSやサーバー管理の一部をクラウド側へ任せ、アプリケーション開発へ集中しやすくなります。

現在はサーバーレス、マネージドデータベース、コンテナ、AIプラットフォームなどが発達しており、実際のシステムではIaaSとPaaSを明確にどちらか一方だけ使うのではなく、複数のサービスを組み合わせるケースが一般的です。

AWSがもっとも広く利用される理由

AWSはクラウドコンピューティング市場を早期から拡大してきた事業者で、コンピューティング、ストレージ、データベース、ネットワーク、サーバーレス、コンテナ、データ分析、機械学習など非常に幅広いサービスを提供しています。

代表的なサービスにはAmazon EC2、Amazon S3、Amazon RDS、Amazon VPC、AWS Lambda、Amazon ECS、Amazon EKSなどがあります。小規模なWebサイトから大企業の基幹システムまで用途を広げやすいことが強みです。

また利用企業や開発者が多いため、技術情報、書籍、資格、エンジニア人材、サードパーティー製品などを見つけやすいというエコシステム上のメリットがあります。新しいプロジェクトで「特定ベンダーとの相性などの条件が特にない」という場合、AWSが有力候補になりやすい理由の一つです。

AzureはMicrosoft製品を使う企業で特に有力

Microsoft Azureは世界第2位の大規模クラウドで、企業システムとの親和性が大きな強みです。Windows Server、Microsoft 365、Microsoft Entra ID、SQL Server、.NETなどMicrosoft系技術をすでに利用している企業では、Azureを候補にしやすくなります。

例えば社内の認証基盤やMicrosoft製品を大量に利用している企業がオンプレミス環境からクラウドへ移行する場合、既存環境との連携を考えてAzureを採用するケースがあります。

2026年第2四半期の世界市場シェアは20%で、AWSとの差はあるものの巨大な事業規模です。したがって企業向けクラウドを学ぶ場合、AWSだけでなくAzureの知識も非常に実用性が高いといえます。

Google CloudはAI・データ分析分野でも存在感が大きい

Google Cloudは2026年第2四半期の世界市場シェアで15%となり、3大クラウドの一角を占めています。前年同期の13%からシェアを伸ばしている点にも注目できます。

Google Compute Engine、Cloud Storage、Cloud Run、Google Kubernetes Engine(GKE)、BigQueryなどを提供し、Webアプリケーションからコンテナ、データ分析まで幅広いシステムを構築できます。

さらにGoogleはGeminiをはじめとするAI技術を持っているため、生成AI・機械学習・大規模データ分析とクラウドを組み合わせる用途でもGoogle Cloudが選択肢になります。特にBigQueryなどGoogle Cloud独自のサービスを活用したいプロジェクトでは有力です。

開発者の利用状況を見てもAWS・Azure・Google Cloudが主要3社

市場売上だけでなく、実際の開発者が使っている技術を調査したStack Overflow Developer Surveyでも、AWS・Azure・Google Cloudは主要なクラウドとして継続的に上位へ登場しています。

例えば2023年調査では、過去1年間に幅広く開発で利用したクラウドプラットフォームについて、全回答者でAWSが48.62%、Microsoft Azureが26.03%、Google Cloudが23.86%でした。プロ開発者ではAWSが53.08%に達していました。[参照] Stack Overflow Developer Survey 2023

2024年調査でもAWSの利用率は前年と同水準で、Azureは26%から28%、Google Cloudは24%から25%へ伸びたと報告されています。[参照] Stack Overflow Developer Survey 2024

なお、このアンケートの利用率とSynergy Research Groupの市場シェアは意味が異なります。前者は調査回答者が使用した技術の割合、後者はクラウドインフラサービス市場における事業者の売上シェアを基準としているため、数字を直接比較しないことが重要です。

AWS・Azure・Google Cloudのどれを選ぶべき?

「もっとも利用されている」という理由だけでクラウドを決める必要はありません。実務では、システム要件、既存技術、担当エンジニアの経験、料金、必要なサービス、運用体制、セキュリティ、リージョンなどを総合的に比較します。

クラウド 2026年Q2世界シェア 選択肢になりやすいケース
AWS 28% 幅広い用途、豊富なサービス・情報・人材を重視
Microsoft Azure 20% Microsoft製品との連携、企業IT・ハイブリッド環境
Google Cloud 15% データ分析、AI、コンテナ、Google系技術との連携

例えば「会社ですでにMicrosoftの認証・業務システムを多数使っている」という条件なら、AWSが市場シェア1位でもAzureの方が合理的な場合があります。一方、特定ベンダーへの依存がなく、多数のサービスや技術資料から選びたいならAWSは非常に有力です。

AI・データ分析を中心とするプロジェクトではGoogle Cloudが魅力的な場合もありますし、生成AI用途では3社それぞれが強力なサービスを展開しています。単純な順位より「作りたいものに必要なサービスがどこにあるか」を見るべきです。

Oracle CloudやCloudflare、Vercelなどはどう位置付ければよい?

AWS・Azure・Google Cloud以外にも有力なサービスはあります。Oracle Cloud Infrastructure(OCI)はOracle DatabaseなどOracle製品との組み合わせを重視する企業で候補になり、CloudflareはCDNやエッジコンピューティング、セキュリティなどで広く利用されています。

Web開発ではVercel、Netlify、Render、Fly.ioなど、アプリを素早くデプロイできる開発者向けプラットフォームもあります。特にフロントエンドや小~中規模Webアプリでは、巨大クラウドを直接構築するより便利な場合があります。

つまり「企業・開発者が使うクラウド」という言葉には、巨大IaaS/PaaSだけでなく、用途特化型のクラウドプラットフォームも含まれます。市場全体ならAWSが首位でも、特定の開発分野では別サービスが頻繁に使われることがあります。

最近はマルチクラウドという選択肢もある

企業ではAWS・Azure・Google Cloudのどれか一つだけを永久に使うとは限りません。システムや部署によって異なるクラウドを利用する「マルチクラウド」もあります。

例えば基幹系システムはAzure、データ分析はGoogle Cloud、別のWebサービスはAWSという構成も技術的には可能です。また買収・組織統合などによって、結果的に複数クラウドを運用する企業もあります。

一方、マルチクラウドにすれば必ず優れた構成になるわけではありません。クラウドごとにIAM、ネットワーク、監視、料金体系、セキュリティ、運用方法が異なるため、管理コストが増加します。明確な目的がないなら、無理に複数クラウドへ分散する必要はありません。

これからクラウドを学ぶならどれから始める?

クラウド未経験者が「就職や開発のために一つ勉強したい」という場合、利用規模と情報量を考えるとAWSから始めるのは合理的な選択です。EC2、S3、VPC、RDS、IAMなどを学べば、クラウドのコンピューティング・ストレージ・ネットワーク・データベース・権限管理といった基本概念を理解できます。

ただし勤務先や志望企業がMicrosoft Azureを採用しているなら、最初からAzureを学ぶ方が実務的です。同様にGoogle Cloudを採用する企業やデータ分析系の仕事を目指すならGoogle Cloudを優先しても問題ありません。

重要なのはサービス名だけを暗記することではありません。仮想マシン、オブジェクトストレージ、VPC、ロードバランサー、IAM、マネージドDB、コンテナ、サーバーレス、Infrastructure as Codeなどの概念を理解すると、別クラウドへ移っても知識を応用しやすくなります。

まとめ:2026年現在はAWSが首位、Azure・Google Cloudを含む3強で考えるのが実用的

2026年現在、企業向けIaaS/PaaSを含むクラウドインフラサービス市場でもっとも大きなシェアを持つのはAWS(Amazon Web Services)です。Synergy Research Groupの2026年第2四半期データでは、Amazonが28%、Microsoftが20%、Googleが15%となっています。

したがって「現在もっとも広く利用されているクラウドサービスは?」という問いに一つだけ答えるなら、AWSがもっとも妥当です。ただしMicrosoft AzureとGoogle Cloudも世界規模の巨大プラットフォームであり、企業ITでは実質的にこの3社を中心として比較するのが分かりやすいでしょう。

一方、利用者数、市場売上、開発者アンケート、特定地域・業界など、何を「広く利用されている」の基準にするかによって数字は変わります。クラウド選定では市場シェアだけでなく、既存システムとの親和性、必要なPaaS、AI・データ基盤、エンジニアのスキル、料金、運用体制まで確認することが重要です。

結論として、市場全体の最大手はAWS、企業ITとの親和性で強いAzure、AI・データ分野でも存在感を高めるGoogle Cloudという3強を押さえ、そのうえで用途に合ったクラウドを選ぶのが2026年時点では実用的な考え方です。

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