Googleマップでホームページがない店に営業しても違法ではない?Web制作のメール・電話・飛び込み営業の注意点と受注率の考え方

ホームページ作成

Googleマップなどでホームページを持っていない店舗を探し、「ホームページを作りませんか」とWeb制作を提案する営業方法は考えられます。飲食店、美容室、工務店、士業、個人経営の店舗などを対象に、Web制作会社やフリーランスが新規営業を行うこと自体は珍しいことではありません。

ただし、「営業すること自体が直ちに違法か」と「どんな方法でも自由に営業してよいか」は別問題です。メールには広告メールに関するルールがあり、電話や訪問では相手方や契約形態によって特定商取引法などの検討が必要になる場合があります。また、Googleマップの情報を営業リストとして大量に自動収集する行為については、Google側の利用規約にも注意が必要です。

さらに実務上は、法律だけでなく「店の営業を邪魔しない」「断られたら追いかけない」「Googleマップに載っているからホームページを欲しがっているとは考えない」といった配慮が受注率や信用に大きく影響します。ここではWeb制作の新規開拓を始める際に知っておきたいポイントを整理します。

ホームページ制作を店舗へ営業すること自体が直ちに違法になるわけではない

店舗へWeb制作サービスを提案するという行為そのものが、一律に禁止されているわけではありません。企業間取引では、新規顧客を獲得するために電話、メール、問い合わせフォーム、訪問、紹介などさまざまな営業手法が利用されています。

例えば「Web制作を請け負っています。ホームページをお持ちでないようでしたので、必要であれば制作についてご提案できます」と事業者へ連絡すること自体と、詐欺的な説明や執拗な勧誘を行うことは区別して考える必要があります。

ただし、相手が法人なのか個人事業主なのか、営業目的の契約なのか、どのように連絡したのかなど、具体的な事情によって適用される法律や規制が変わります。「店舗相手なら法律を一切気にしなくてよい」と考えるのも適切ではありません。

電話営業では最初に「誰が何の営業をしているか」を明確にする

電話営業をするなら、最初から営業電話であることが分かる伝え方にした方がトラブルを避けられます。「○○という屋号でWeb制作をしている○○と申します。ホームページ制作のご提案でお電話しました」と短く目的を伝える方法です。

消費者を対象とする電話勧誘販売について、特定商取引法では勧誘に先立って事業者名、勧誘者の氏名、商品・役務の種類、契約について勧誘する目的であることを告げるルールがあります。また、契約しない意思を示した消費者への勧誘継続・再勧誘も禁止されています。[参照] 消費者庁 特定商取引法ガイド・電話勧誘販売

一方、店舗が自店の営業のためにホームページ制作を契約するような典型的な事業者間取引では、特定商取引法の適用除外となる場合があります。消費者庁も「営業のため、又は営業として締結するもの」を適用除外の一つとして示しています。ただし適用の有無は具体的な契約実態で判断されるため、個人事業主なら何でも自動的に対象外になるという理解は避けましょう。[参照] 消費者庁 訪問販売等の適用除外に関するQ&A

飛び込みで店舗へ行く場合も営業妨害にならない配慮が必要

店舗へ直接営業に行く方法もありますが、飲食店のランチタイム、美容室の施術中、医院の診療時間など、忙しい時間帯へ突然訪問すると内容以前に嫌われてしまいます。

最初の訪問で長時間説明するより、「Web制作をしている者ですが、ホームページについてご提案してもよいでしょうか。今お忙しければ資料だけお渡しします」と相手に選択権を与える方が自然です。

営業を断られた場合は、その場で終了するのが基本です。退去を求められているのに居座る、業務を妨げるほど繰り返し電話する、拒否された後も何度も訪問するといった行為は避けるべきです。法律上の問題以前に店舗からの信用を失い、苦情につながります。

営業メールには特定電子メール法などのルールがある

メール営業は電話より気軽に見えますが、広告・宣伝目的の電子メールには「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(特定電子メール法)」が関係します。そのため、ネット上でメールアドレスを見つけたから無条件に大量の営業メールを送ってよい、と考えるのは危険です。

広告宣伝メールについては原則として事前同意を得た相手への送信を基本とするオプトイン規制があり、一定の例外も設けられています。送信者情報の表示や受信拒否に関するルールなどもあるため、不特定多数へのメール営業を行うなら最新の法令・ガイドラインを確認する必要があります。

特に「ネット上に公開されているメールアドレスだから営業メールを何通送っても問題ない」と単純化しないことが重要です。営業メールを本格的に行う場合は、自分の送信方法が特定電子メール法上どの扱いになるのか確認し、不明な場合は専門家へ相談するのが安全です。

Googleマップから営業先を探すなら「手作業」と「自動収集」を区別する

Googleマップを見ながら「この地域にはどんな店舗があるか」「ホームページへのリンクが表示されているか」を調べて営業候補を検討することと、Googleマップ上の大量の店舗情報をプログラムやツールで抜き出して独自データベース化することは分けて考える必要があります。

Google Maps Platformの現行規約では、Google Maps Contentをサービス外へエクスポート・抽出・スクレイピングすることを制限しており、例として店舗名、住所、レビューなどをコピーして保存する行為も挙げています。[参照] Google Maps Platform Terms of Service

そのため、「Googleマップから何万店舗も自動取得して営業リストを作るツール」を安易に運用するのは避け、Googleの最新規約を確認する必要があります。営業先の情報は店舗自身の公式情報、法人サイトなど適切な情報源でも確認するとよいでしょう。

ホームページがない店=ホームページを欲しがっている店ではない

営業で最も重要なポイントの一つです。ホームページを持っていない店舗を見つけても、それだけでは「困っている見込み客」とは限りません。

例えば常連客だけで予約が埋まる美容室、地域住民だけで十分な飲食店、紹介中心の工務店なら、ホームページを作って新規客を増やす必要がない場合があります。InstagramやGoogleビジネスプロフィールだけで十分と考えている経営者もいます。

そのため「ホームページがありませんね。作った方がいいですよ」という営業より、「現在、新規客を増やしたいですか」「採用に困っていますか」「電話で毎回説明している内容はありますか」と経営上の課題から聞く方が提案につながりやすくなります。

「ホームページを作れます」だけでは受注しにくい

現在はWordPress、Wix、STUDIO、Jimdoなどの制作手段があり、生成AIを利用してWebページを作ることもできます。そのため単に「ホームページを作れる」という技術だけでは差別化が難しくなっています。

店舗側が知りたいのは、ホームページという成果物そのものより、「何が改善されるのか」です。例えば美容室なら予約、工務店なら施工事例と問い合わせ、飲食店なら営業時間・メニュー・アクセス、士業ならサービス内容と相談導線など、業種ごとに目的が違います。

具体的には「スマートフォンでメニューを見やすくする」「Google検索から予約ページへ移動できるようにする」「営業時間・定休日を分かりやすくする」「採用ページを作る」といった提案の方が、単なる『5ページのホームページを作ります』より価値を理解してもらいやすくなります。

サンプルサイトを勝手に公開するのは避ける

営業方法として「相手の店のホームページを先に作って見せれば契約してもらえるのでは」と考えることがあります。非公開のモックアップを自分の営業資料として作る方法は考えられますが、実在店舗の名前、ロゴ、商品写真、文章などを無断利用して本物の公式サイトのように一般公開することは避けるべきです。

店舗ロゴや写真などには権利関係があり、第三者の写真をGoogleマップやSNSから勝手に転載してよいわけではありません。また、一般ユーザーが非公式サイトを公式サイトだと誤認するような状態も問題になります。

営業用の制作例を見せたいなら、自分で用意した架空店舗のデモサイトや、掲載許可を得た実績サイトをポートフォリオとして提示する方が安全です。

実際にこの方法で営業している人はいる?

Web制作会社やフリーランスが、電話営業、メール営業、問い合わせフォーム、訪問、紹介、SNS、クラウドソーシングなどから顧客を獲得すること自体は一般的な営業活動です。ホームページを持っていない小規模事業者を見込み客として考える営業方法も特別な発想ではありません。

しかし、「Googleマップでホームページのない店へ営業すると平均何%が依頼する」という信頼できる公的統計は確認できません。業種、地域、価格、実績、営業方法、提案内容、連絡先の選び方によって結果が大きく変わるため、「100件電話すれば必ず○件取れる」といった数字を一般化することはできません。

SNSや営業ノウハウ記事で「100件中○件受注した」といった体験談があっても、それはその人の実績です。全Web制作者の平均受注率を示す統計とは区別する必要があります。

受注率より「見込み客の選び方」を改善する方が重要

ホームページがない店舗を100件無作為に選ぶより、Webサイトを作る合理的な理由がある店舗へ絞る方が営業効率は上がりやすくなります。

例えば「新規オープンした」「求人を出している」「SNSは積極的に更新している」「複数店舗へ拡大している」「メニューや料金について電話問い合わせが多そう」「予約サービスを利用しているが公式情報をまとめる場所がない」といった店舗なら、Web活用への関心が比較的高い可能性があります。

反対に何十年も紹介客だけで営業し、予約もいっぱいで、新規客を増やす意思もない店舗へ「集客できるホームページ」を提案しても、経営者にとって必要性がありません。

最初は売り込みより短いヒアリングにする

新規営業では、最初から制作費30万円、SEO対策、レスポンシブデザインなどを説明するより、相手の課題を確認した方が話を進めやすくなります。

例えば「ホームページ制作の営業なのですが、現在Webから新規のお客様を増やすことには関心がありますか?」と確認し、「特に必要ない」と言われれば終了します。関心がある場合だけ詳しい説明へ進めます。

この方法なら相手の時間を奪いにくく、不要なサービスを無理に販売することも避けられます。断られた店舗を「見込みなし」と記録して繰り返し連絡しない運用も重要です。

Web制作営業で説明しておきたい契約内容

受注できそうになったら、口頭の約束だけで制作を始めず、制作範囲と料金を明確にしておきましょう。特に「何回でも修正無料」のような曖昧な契約は、後からトラブルになりやすくなります。

少なくとも、制作料金、ページ数、修正回数、納期、写真・文章を誰が用意するか、ドメインの名義、サーバー料金、保守料金、解約方法、著作権・成果物の扱いなどを確認しておくと安心です。

例えば「初期制作5万円」と安く見せて、後から説明していなかった月額管理料を長期間請求するとトラブルになります。初期費用だけでなく、顧客が将来負担する総額を分かりやすく説明することが長期的な信用につながります。

初心者なら紹介・地域ネットワークから始める方法もある

営業経験がないWeb制作者にとって、いきなり知らない店舗へ100件電話する方法だけが顧客獲得ではありません。知人の店、地域の事業者、商工関係の交流、SNS、既存顧客からの紹介などから最初の実績を作る方法もあります。

例えば最初に地域の店舗1社から依頼を受け、実際のサイトと成果をポートフォリオにできれば、次の営業では「この地域の○○店を制作しました」と具体的に説明できます。実績ゼロの状態より信用を得やすくなります。

また「Webサイト制作」だけでなく、Googleビジネスプロフィールと公式サイトの情報整理、スマートフォン対応、メニュー更新、予約導線など、小規模店舗が実際に困っている作業をまとめて提案する方法もあります。

法律面で迷ったら「BtoBだから全部自由」と自己判断しない

営業先が店舗だからといって、あらゆる勧誘方法が無条件に許されるわけではありません。特定商取引法については「営業のため、又は営業として締結するもの」が適用除外となる場合がありますが、消費者庁は、利益活動の意思があることだけで直ちに適用除外になるわけではなく、具体的事情を総合的に検討する考え方も示しています。[参照] 消費者庁 適用除外に関するQ&A

メール営業なら特定電子メール法、個人情報を営業リストとして扱うなら個人情報保護に関する問題、Googleマップを自動収集するならサービス利用規約など、営業方法によって確認事項が増えます。

大規模なメール配信や営業リストの自動収集などを事業として継続するなら、ネット上の体験談だけで判断せず、総務省・消費者庁・個人情報保護委員会などの最新情報を確認し、必要に応じて弁護士などの専門家へ相談するのが安全です。

まとめ:店舗へのWeb制作営業は可能だが、法律・規約・営業マナーを分けて考える

Googleマップなどを参考にホームページを持っていない店舗を見つけ、「Webサイトを作りませんか」と提案すること自体が一律に違法になるわけではありません。Web制作会社やフリーランスが新規顧客へ電話・メール・訪問などで営業することもあります。

ただし、営業メール、電話勧誘、訪問、個人情報の利用、Googleマップからの情報取得にはそれぞれ別の法律や規約が関係する可能性があります。特にGoogle Maps PlatformではMaps Contentのスクレイピングやサービス外への大量抽出などに制限があるため、自動ツールで大量の店舗情報を取得する方法には注意が必要です。

また、「この営業方法なら何%受注できる」という信頼できる一律の数字はありません。ホームページがない店を無差別に狙うより、Web集客・求人・予約・情報発信など具体的な課題を持っている店舗を探す方が合理的です。

営業するときは、最初に営業目的を明確にする、忙しい時間を避ける、短時間で用件を伝える、断られたら終了する、無断転載したデモサイトを公開しない、料金と契約条件を明示することが重要です。法律を守ることを最低条件として、相手にとって本当にホームページを作るメリットがあるかを考える営業の方が、長期的には受注と信用につながりやすいでしょう。

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