Internet Explorer 9はGPUアクセラレーションを全面導入した初のIE?IE8以前との違いを解説

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Internet Explorer 9(IE9)は、Internet Explorerの歴史において描画性能が大きく変化したバージョンです。特に注目されたのが、Webページの描画処理にGPU(Graphics Processing Unit)を積極的に利用するハードウェアアクセラレーションでした。

IE9については「GPUアクセラレーションを初めて搭載したInternet Explorer」と説明されることがありますが、正確に理解するには、何をGPUで処理するようになったのか、IE8以前と何が違ったのかを整理する必要があります。

IE9はGPUアクセラレーションを本格導入した最初のInternet Explorer

結論からいえば、IE9はWebページの描画にGPUを本格的・包括的に利用するハードウェアアクセラレーションを導入した最初の正式版Internet Explorerと考えてよいでしょう。

IE9は2011年に正式公開されました。従来のInternet ExplorerではCPUへの依存が大きかったWebコンテンツの描画について、IE9ではWindowsのDirect2DやDirectWriteなどを活用し、対応環境ではGPUの能力を利用する設計になりました。

そのため「IE9でGPUが初めて何らかの形で利用された」という単純な表現よりも、「Webページ全体のレンダリングを高速化するためのGPUアクセラレーションを本格導入した最初のIE」と表現するほうが、その特徴を正確に捉えやすくなります。

IE8以前とIE9では何が違ったのか

IE8以前では、HTMLやCSSなどから構成されるWebページの描画処理は基本的にCPUへの依存度が高く、ブラウザの描画速度はCPU性能の影響を大きく受けていました。

IE9ではこの考え方が大きく変わり、Webページのレンダリング処理の一部をグラフィックス処理が得意なGPUへ担当させる仕組みが採用されました。MicrosoftはIE9の開発段階から「hardware-accelerated HTML5」などを重要な特徴としてアピールしていました。

たとえば多数の図形、文字、画像、アニメーションなどを画面上で高速に更新する場合、CPUだけですべてを処理するより、適切な処理をGPUに担当させたほうが滑らかな表示を実現しやすくなります。現在では珍しくない考え方ですが、当時のWebブラウザでは大きな技術的変化でした。

IE9のGPUアクセラレーションはどのような仕組みだった?

IE9の重要なポイントは、特定の動画やプラグインだけをGPUで動かすという発想ではなく、ブラウザによるWebコンテンツのレンダリングそのものをハードウェアアクセラレーションの対象にしたことです。

WindowsではDirectX系の技術がゲームやマルチメディア処理などで以前から利用されていました。IE9ではDirect2Dなどを利用して、Webページのグラフィックス描画をGPUで高速化できるようになりました。また、DirectWriteによる文字描画もIE9のレンダリング技術を理解するうえで重要です。

これによってHTML、CSS、SVG、Canvasなどを利用したWebコンテンツでも、対応するハードウェアとドライバーが利用できる環境ではGPUの性能を活用できるようになりました。

「全面的に導入」という表現には注意が必要

IE9を説明するときに「GPUアクセラレーションを全面的に導入した」という表現が使われることがあります。ただし、これはブラウザで行われるすべての計算をGPUへ移したという意味ではありません。

WebブラウザにはHTMLの解析、JavaScriptの実行、ネットワーク通信、DOM処理、レイアウト計算、画像処理、最終的な画面描画など、さまざまな処理があります。このすべてをGPUだけで実行するわけではなく、GPUが得意な描画処理などをGPUに担当させるのがハードウェアアクセラレーションです。

したがってIE9については、「すべての処理をGPU化した」という意味での全面導入ではなく、Webコンテンツのレンダリング基盤にGPUアクセラレーションを広範囲に取り入れたと理解するのが適切です。

GPUを利用できないPCではどうなった?

IE9を使用すれば、どのパソコンでも必ずGPUアクセラレーションが有効になるわけではありませんでした。GPUやグラフィックスドライバーなどがIE9のハードウェアアクセラレーションに適さない場合には、ソフトウェアレンダリングが利用されることがあります。

IE9には「GPUレンダリングでなく、ソフトウェアレンダリングを使用する」という設定項目も用意されていました。互換性やグラフィックスドライバーに起因する問題が発生した場合などに、GPUによる描画を無効化できる仕組みです。

つまりIE9の特徴は「GPUがなければ動かない」ことではありません。対応環境ではGPUを利用して描画を高速化し、必要に応じてソフトウェアレンダリングへ切り替えられる設計だった点も重要です。

なぜIE9でGPUアクセラレーションが重要になったのか

2000年代後半から2010年代初頭にかけて、Webサイトは急速にリッチ化しました。単純な文章と画像を表示するだけではなく、JavaScript、動画、アニメーション、Canvas、SVGなどを使った高度なWebアプリケーションが増えていきました。

こうしたコンテンツを滑らかに表示するためには、CPUだけに処理を集中させるのではなく、PCに搭載されているGPUも活用することが合理的です。IE9のハードウェアアクセラレーションは、このようなWebの変化を背景に登場しました。

その後、GPUを活用したレンダリングはInternet Explorerだけの特殊な機能ではなく、現代の主要Webブラウザにおいて一般的な技術となっています。その意味でもIE9は、Internet Explorerのレンダリング技術の転換点だったといえます。

IE9とIE8以前の違いを整理

項目 IE8以前 IE9
Web描画 CPUへの依存度が高い GPUを積極的に活用
Direct2D Webページ描画の基盤として未採用 ハードウェアアクセラレーションに活用
DirectWrite 未採用 文字描画に活用
ソフトウェアレンダリング 従来型の描画が中心 GPUが利用できない場合などに利用可能
位置付け 従来型IE GPUアクセラレーションを本格導入した世代

この比較からも、IE9が単なるIE8の小規模な改良ではなく、レンダリングエンジンの考え方を大きく進化させたバージョンだったことが分かります。

まとめ:IE9はInternet ExplorerのGPU活用における大きな転換点

Internet Explorer 9は、WebコンテンツのレンダリングにGPUによるハードウェアアクセラレーションを本格的かつ広範囲に導入した最初の正式版Internet Explorerと整理できます。

ただし「全面的」という言葉を、ブラウザの全処理をGPUで実行するという意味に捉えるのは正確ではありません。HTML解析やJavaScriptなどを含むすべての処理がGPU化されたのではなく、主として描画・レンダリング処理でGPUを積極的に利用する仕組みが導入されました。

IE9はDirect2DやDirectWriteなどWindowsのグラフィックス技術をWebブラウザのレンダリングへ活用したことで、Internet Explorerの描画アーキテクチャにおける重要な転換点となりました。「IEでGPUアクセラレーションが本格化したのはいつか」を考える場合、IE9がその代表的なバージョンです。

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