最近のTwitchを見ていると、以前のようなゲーム実況者だけでなく、雑談、IRL、旅行、イベント、芸能・SNS活動などを中心にする、いわゆる「インフルエンサー系」の配信者が増えたように感じることがあります。
これは単にゲーム配信者が減ったというより、Twitch自体がゲーム以外のライブコンテンツ、モバイル視聴、短いクリップ、他のSNSで活動するクリエイター、企業とのスポンサーシップまで積極的に取り込む方向へ広がっていることが大きな背景です。
実際、2026年のTwitchは自らをゲームだけの場所として扱っておらず、ゲーム・スポーツ・音楽・IRL・エンターテインメントなどを含むライブカルチャーの場として展開しています。この記事では、なぜ最近Twitchでインフルエンサー型の配信が目立つようになったのかを整理します。
- Twitchはすでに「ゲーム実況専用サイト」ではない
- 「Just Chatting」が巨大カテゴリーになっている
- IRL配信をTwitch自身が強く後押ししている
- TikTokやYouTube型クリエイターがTwitchへ入りやすくなった
- Twitchの画面自体がTikTokなどに近い発見型へ変化した
- 短いクリップから長時間ライブへ誘導できるようになった
- スポンサー案件とインフルエンサー活動の相性もよくなっている
- ライブ配信はインフルエンサーがファンとの距離を縮めやすい
- コラボ機能が増え、人脈型コンテンツが作りやすくなった
- ゲーム配信者まで「インフルエンサー化」している面もある
- 「最近急に増えた」と感じるのはおすすめ表示の影響もある
- Twitchはゲームからインフルエンサーへ完全に路線変更したわけではない
- まとめ:最近のTwitchでインフルエンサー系が増えて見えるのはプラットフォーム自体が広がったから
Twitchはすでに「ゲーム実況専用サイト」ではない
Twitchはゲーム配信で大きく成長したサービスですが、現在のコンテンツはゲームだけに限定されていません。2026年のTwitchConに関する公式発表でも、Twitchは現在の配信文化について、ゲームだけでなくスポーツ、音楽、IRL、エンターテインメントまで広がっていることを明確に示しています。[参照] Twitch公式・TwitchCon Rotterdam 2026
つまり、現在のTwitchでは「ゲームが上手い人を見に行く」という使い方だけでなく、「好きな人が雑談しているから見る」「外出している様子を見る」「イベントを一緒に楽しむ」といった人物中心の視聴スタイルも一般的になっています。
この変化によって、YouTuber、TikToker、Instagramなどですでにファンを持つ人にとっても、Twitchを使う意味が以前より大きくなりました。
「Just Chatting」が巨大カテゴリーになっている
インフルエンサー系が増えたように感じる最大の理由の一つが、「Just Chatting(雑談)」カテゴリーの存在です。これは特定のゲームをプレイすることを前提とせず、配信者本人のトークや企画、リアクションなどを中心にできるカテゴリーです。
配信データを集計するStreams Chartsによると、Just Chattingは2026年にもTwitch最大級のカテゴリーとして非常に大きな視聴規模を維持しています。例えば2026年7月は約2億1,594万時間視聴され、平均視聴者数は約29万9,000人でした。[参照] Streams Charts・Just Chatting統計
ゲームタイトルが主役なら、ゲームをやめたときに視聴者が離れることがあります。一方、Just Chattingでは「何をするか」より「誰が配信しているか」そのものがコンテンツになりやすいため、インフルエンサー型の活動と非常に相性が良いのです。
IRL配信をTwitch自身が強く後押ししている
「街を歩く」「旅行する」「イベントへ行く」「食事する」といったIRL(In Real Life)配信も、最近のTwitchを象徴するジャンルです。これはゲーム実況よりも、YouTubeのVlogやInstagram、TikTokなどのインフルエンサー文化に近いコンテンツです。
Twitchは2026年5月に「IRL TAKEOvER」という1週間の公式企画を実施し、数百人のIRLクリエイターをトップページ上で紹介しました。山でのスキー、ロードトリップ、キャンプなどを例として挙げ、IRL配信そのものを公式に特集しています。[参照] Twitch公式「IRL TAKEOvERが始まります」
さらにTwitchはスマートフォンからのIRL配信について、チャットやアクティビティフィードへアクセスしやすくしたり、配信中に地図やメッセージを確認できるようにしたりと機能改善を進めています。こうした方向性を見ると、Twitch自身がゲーム以外の「人物の日常を見るライブ」を重要なジャンルとして扱っていることが分かります。
TikTokやYouTube型クリエイターがTwitchへ入りやすくなった
現在は一人のクリエイターが一つのSNSだけで活動することは珍しくありません。TikTokで短い動画を投稿し、Instagramで写真を公開し、YouTubeへ編集動画を出し、Twitchでは長時間ライブをする、といった使い分けができます。
象徴的なのが2025年1月のTwitch公式発表です。当時、米国でTikTokをめぐる先行きが不透明になった際、TwitchはTikTokのクリエイターに対して、Twitchでライブ配信を始めるための支援を行うと明言しました。エージェンシー所属者についてもTwitch利用を案内しています。[参照] Twitch公式「Twitch Stands Ready to Support TikTok Creators」
つまりTwitch自身も、他SNSですでに活動しているクリエイターを「別ジャンルの人」として遠ざけるのではなく、新しいライブ配信者として積極的に受け入れています。
Twitchの画面自体がTikTokなどに近い発見型へ変化した
以前のTwitchでは、見たいゲームカテゴリーへ移動し、その中から配信者を探す使い方が目立ちました。しかし現在のモバイルアプリには「ディスカバリーフィード」があり、視聴者におすすめのライブ配信が縦方向のフィードで次々表示されます。
Twitch公式によると、2024年のモバイルアプリ刷新では、アプリを開くとパーソナライズされたライブ配信のフィードが表示され、スワイプしながら配信者を発見できる仕組みが導入されました。また短時間で視聴できる「クリップフィード」やストーリーも用意されています。[参照] Twitch公式・新モバイルアプリ
この仕組みでは、「このゲームを見る」と決めて探すだけでなく、知らない配信者がフィードに現れ、面白そうだから見るという出会い方が増えます。これはTikTokやYouTube Shortsなどでインフルエンサーを発見する流れに比較的近いものです。
短いクリップから長時間ライブへ誘導できるようになった
インフルエンサー型の活動では、「短い動画で新規ユーザーに知ってもらい、長い配信でファンになってもらう」という流れが非常に重要です。Twitchもこの点を強化しています。
Twitchはクリップについて、配信の面白い瞬間をTwitch内だけでなく外部SNSへ共有し、新しい視聴者へクリエイターを知ってもらうための重要な機能と位置付けています。2024年にはクリップから縦型動画を自動生成し、モバイルやSNSへ共有しやすくする仕組みも導入しました。[参照] Twitch公式・モバイル向けクリップ機能
例えばTwitchで6時間配信したとしても、そのすべてを新規視聴者が見る必要はありません。面白かった30秒程度の場面がTikTokやXなどで拡散され、そこから「この人の生配信も見てみよう」とTwitchへ流入することがあります。
そのため、「短尺SNSでバズる能力」と「Twitchで配信する能力」が以前よりつながりやすくなっています。
スポンサー案件とインフルエンサー活動の相性もよくなっている
もう一つ大きいのが収益面です。インフルエンサーは広告案件や企業タイアップを収入源にすることが多く、Twitchもスポンサーシップを重要な収益手段として強化しています。
2025年にはTwitchがクリエイターダッシュボードへスポンサーシップ用の機能を導入し、配信者がブランドとの提携に関心があることを示せる「Creator Profile」などを展開しました。Twitchはブランド側にとっても提携するクリエイターを探しやすくする方針を示しています。[参照] Twitch公式・スポンサーシップ機能
またTwitch CEOの2025年方針でも、ブランドとのコラボレーション機会を増やし、ストリーマーが収益を得られる機会を拡大すると説明されています。[参照] Twitch CEOによる2025年方針
そのため、SNSですでに影響力を持つ人から見ても、Twitchは「ただゲームを配信する場所」ではなく、ファンとの交流と収益化を両立できる活動拠点になっています。
ライブ配信はインフルエンサーがファンとの距離を縮めやすい
TikTokやInstagramの通常投稿では、基本的には投稿者が作ったコンテンツを視聴者が見るという一方向の構造になります。一方Twitchでは、視聴者がチャットを送り、配信者がその場で読み上げたり返答したりできます。
例えばInstagramで数十万人のフォロワーがいる人でも、写真や短い動画だけではファン一人ひとりと長時間交流するのは難しいでしょう。Twitchなら2~3時間雑談しながらコメントを読み、常連視聴者の名前を覚えるといった関係を作れます。
これは「認知度を広げる」ことが得意なTikTok・Instagramと、「濃いファンコミュニティを形成する」ことが得意なライブ配信を組み合わせる方法ともいえます。インフルエンサーにとってTwitchを追加する合理的な理由の一つです。
コラボ機能が増え、人脈型コンテンツが作りやすくなった
最近のTwitchでは一人でゲームをするだけでなく、複数の配信者が集まって雑談したり、イベントへ行ったり、一緒に企画を行ったりする配信も増えています。
Twitchは2025年の方針として「Stream Together」や「Shared Chat」など、配信者同士が共同で配信・交流しやすくする機能を強化すると説明しています。共有Hype Trainなど、コラボ中の収益化機能についても展開しています。[参照] Twitch公式・コラボレーション強化方針
インフルエンサー文化では、「誰と誰が仲良いか」「有名人同士が一緒に何をするか」自体がコンテンツになります。そのため、コラボレーションを重視する現在のTwitchはインフルエンサー型配信とも相性が良いのです。
ゲーム配信者まで「インフルエンサー化」している面もある
「インフルエンサーがTwitchに増えた」だけでなく、もともとゲーム中心だったストリーマーの活動内容が広がった結果、インフルエンサーのように見えるケースもあります。
例えば以前はFPSを毎日配信していた人が、雑談、旅行、実写企画、イベント出演、スポンサー案件、他配信者とのコラボなども行うようになると、活動全体はゲーム実況者というより総合クリエイターに近くなります。
これはTwitchの視聴者がゲームだけではなく「配信者本人」に付くようになった結果でもあります。人気が高まるほど、ゲームタイトルを変更しても視聴者がついてくるため、活動領域を広げやすくなります。
「最近急に増えた」と感じるのはおすすめ表示の影響もある
注意したいのは、Twitch全体でインフルエンサーが何倍にも急増したと単純に判断できるわけではないことです。視聴者自身のおすすめ表示によって、そう感じる場合もあります。
現在のTwitchモバイルアプリは視聴傾向をもとにライブを推薦するディスカバリーフィードを採用しています。そのため、Just Chatting、IRL、特定の人気配信者などを何度か見ると、それに近いコンテンツがさらに表示されやすくなります。
結果として「最近Twitchを開くとインフルエンサーっぽい人ばかり出る」と感じても、それがTwitch全ユーザーの画面と同じとは限りません。従来どおりゲーム配信も非常に大きな柱として残っています。
Twitchはゲームからインフルエンサーへ完全に路線変更したわけではない
現在もTwitchではLeague of Legends、VALORANT、Minecraft、Grand Theft Auto Vなどを含むゲームカテゴリーが大きな視聴規模を持っています。ゲーム関連イベントやDrops、ゲーム会社との企画も継続しています。
例えば2026年にもTwitchはゲームパブリッシャーと協力した「Summer Drops Fest」などを実施しており、ゲームを軽視しているわけではありません。[参照] Twitch公式ブログ
より正確に表現すると、「ゲーム配信サイトだったTwitchがインフルエンサーサイトに変わった」のではなく、「ゲームという大きな柱を残したまま、雑談・IRL・スポーツ・音楽・イベント・人物中心のライブへ領域を広げた」と考えるのが適切です。
まとめ:最近のTwitchでインフルエンサー系が増えて見えるのはプラットフォーム自体が広がったから
最近のTwitchでインフルエンサー系の配信者が増えたように感じる背景には、単一の理由ではなく複数の変化があります。Just Chattingの巨大化、IRL配信の成長、TikTokなど他SNSのクリエイター受け入れ、モバイルのディスカバリーフィード、縦型クリップ、スポンサーシップ、コラボレーション機能などが重なっています。
特に現在は「ゲームを見に行く」だけでなく、「好きな配信者本人を見に行く」ことがTwitchの重要な視聴スタイルになっています。この構造はYouTuberやTikToker、芸能人などのインフルエンサー型活動と相性が良いため、そうした人たちがTwitchへ進出しやすくなっています。
2026年にはTwitch自身がIRLクリエイターをトップページで大規模に特集し、ゲーム・スポーツ・音楽・IRL・エンターテインメントを含む幅広いライブ文化を打ち出しています。そのため、インフルエンサー系が目立つのは偶然というより、Twitchがここ数年進めてきたサービス拡張とも一致する現象です。
ただしゲーム配信がなくなったわけではありません。現在のTwitchは、「ゲーム実況プラットフォーム」から「ゲームを中心にしつつ、人物・コミュニティ・ライブエンターテインメント全体を扱うプラットフォーム」へ広がっている途中と見ると、最近の雰囲気の変化を理解しやすいでしょう。


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