ライブ映像をパソコンに取り込んで販売するのは違法?Xで見かける無断コピー販売と著作権のリスクを解説

X(旧Twitter)

アーティストのライブDVD・Blu-rayなどをパソコンに取り込み、その映像データやコピーした媒体をX(旧Twitter)などで販売している投稿を見かけることがあります。正規の商品を自分で購入している場合でも、購入したことと、その映像を複製して第三者へ販売できることは別問題です。

著作権のあるライブ映像には、楽曲、映像、実演など複数の権利が関係しています。そのため、「自分で買ったDVDだから自由にコピーできる」「少人数への販売なら問題ない」と単純には考えられません。ここでは、ライブ映像をパソコンへ取り込む行為と、それを販売する行為の違い、X上で販売した場合に考えられるリスクについて整理します。

正規のライブDVDを購入しても映像の著作権を買ったことにはならない

まず押さえておきたいのは、市販のライブDVDやBlu-rayを購入した人が取得するのは、基本的にはその商品そのものを利用する立場であって、収録されている映像や音楽の著作権そのものではないという点です。

文化庁も、著作物にはコピーに関する複製権、インターネット上へのアップロードに関する公衆送信権などがあり、原則として著作物を利用する場合には権利者の了解が必要になると説明しています。[参照:文化庁「誰でもできる著作権契約マニュアル」]

たとえば、本屋で漫画を1冊購入したからといって、その漫画を100部コピーして販売できる権利まで取得するわけではありません。ライブ映像についても同様に、正規品を購入した事実だけで、その内容をコピーして販売する権利が生まれるわけではありません。

自分で見るためのコピーと販売目的のコピーは大きく異なる

著作権法では、一定の条件のもとで「私的使用のための複製」が認められています。文化庁の著作権資料でも、私的使用とは個人的・家庭内などの限られた範囲で使用することを目的とするものとして説明されています。

重要なのは、第三者への販売を目的としてライブ映像をコピーする行為は、通常「自分で楽しむため」という私的使用とは性質が異なることです。

たとえば「自分が見るために保存する」というケースと、「ライブ映像をパソコンへ取り込み、購入希望者をXで募集してデータやコピー媒体を販売する」というケースでは目的が明確に違います。後者について「正規品を自分で買ったから私的使用の範囲」と考えるのは危険です。

Xでライブ映像のコピーを販売すると何が問題になる?

ライブ映像には映像作品としての著作権だけでなく、楽曲の権利や出演するアーティスト・実演家などの著作隣接権が関係する場合があります。そのため、実際にどの権利を侵害するかは販売方法や作品によって異なります。

特に問題になりやすいのが、映像を無断で複製することです。さらに、映像ファイルをオンラインストレージなどへアップロードして購入者がダウンロードできるようにする場合には、複製だけではなくインターネット上での送信に関する権利も問題になる可能性があります。

文化庁はライブ動画についても、権利者の許可なくインターネットへアップロード・シェアすることは私的使用の範囲に含まれず、原則として著作権侵害となる可能性があると案内しています。[参照:文化庁「ここが知りたい著作権」]

「みんな販売しているから大丈夫」とは判断できない

Xで同じような販売投稿が多数残っていると、「禁止なら全部削除されるはず」「長期間販売しているアカウントがあるから大丈夫なのでは」と感じるかもしれません。しかし、投稿が残っていること自体は、その行為が合法であることを意味しません。

著作権侵害への対応は、権利者による発見や申告、プラットフォーム側の確認などさまざまな事情に左右されます。したがって、別のアカウントが現在も活動していることを根拠に、自分も同じことをして問題ないと判断することはできません。

これは交通違反などと同じように考えると分かりやすいでしょう。違反している人を見かけたとしても、「その人がその場で取り締まられていない」という事実によって、その行為自体が認められるわけではありません。

リスクは「アカウント凍結だけ」とは限らない

Xには著作権侵害についての申告制度があります。Xの著作権ポリシーでは、著作権侵害の申し立てを受けた場合にコンテンツの削除や表示制限などが行われる場合があり、著作権侵害を繰り返すユーザーについてはアカウントが凍結される場合があると説明されています。[参照:X「著作権ポリシー」]

ただし、X上の処分と法律上の責任は別のものです。Xから投稿を削除されたりアカウントを凍結されたりしたから、それ以上の問題が絶対に起こらないという意味ではありません。

文化庁は、著作権を侵害された権利者が取り得る対応として、侵害行為の差止請求、損害賠償請求のほか、著作権法上の刑事罰による処罰を求める告訴などを挙げています。[参照:文化庁「文化芸術活動に関する法的問題についてよくあるご質問」]

つまり「発覚したとしてもアカウントがBANされるだけ」と決めつけることはできません。具体的な法的責任は行為の内容、規模、故意の有無、権利者の対応などによって変わるため、一律に「この程度ならこの処分」と予測することもできません。

少額・少人数の販売なら問題ないという基準もない

「1枚だけなら大丈夫」「数百円なら大丈夫」「フォロワーだけに売るなら大丈夫」と考える人もいるかもしれません。しかし、少額だから自動的に著作権者の許諾が不要になるという一般的なルールはありません。

また、利益が小さいことと、権利者の許諾なく複製できるかどうかも別問題です。販売数や利益額は個別の法的評価に影響する可能性がありますが、「○枚以下なら合法」といった単純な線引きで判断するものではありません。

特に継続して購入者を募集し、複数の作品をコピーして販売するような行為は、単なる個人的な視聴とはますます離れていきます。販売目的である以上、私的使用だから問題ないという説明には無理があります。

安全に販売できるのはどのようなケース?

自分で制作して権利を保有している映像や、権利者から複製・販売について必要な許諾を得ているコンテンツであれば、その許諾条件の範囲内で販売できる場合があります。

一方、市販されているアーティストのライブDVD・Blu-rayを購入し、その映像を取り込んでコピー商品として販売することは、元の商品を正規に購入したという理由だけでは正当化できません。販売したいのであれば、必要な権利について権利者から許諾を得ているかを確認する必要があります。

なお、手元にある正規品そのものの中古売買と、その中身を複製して作った新しいコピーを販売する行為は区別して考える必要があります。「中古DVDを売る」ことと「DVDの映像をコピーして売る」ことを同じものとして扱わないことが重要です。

まとめ:正規品を購入してもライブ映像のコピー販売は自由にはできない

アーティストのライブ映像については、正規のDVDやBlu-rayを自分で購入したとしても、それによって映像を自由に複製・販売する権利まで取得するわけではありません。自分で視聴するための利用と、第三者への販売を目的とした複製は分けて考える必要があります。

また、X上に同様の販売投稿が多数存在しているとしても、それは合法性を保証するものではありません。Xでは著作権侵害に対してコンテンツの削除やアカウント凍結などが行われる可能性があり、さらに権利者から差止めや損害賠償を求められたり、ケースによっては刑事上の問題になったりする可能性もあります。

「見つからなければ大丈夫」「処分されてもアカウント凍結だけ」と考えてライブ映像のコピー販売を始めるのは避けるべきです。販売したいコンテンツについて権利関係が分からない場合は、権利者・公式ガイドラインを確認し、必要に応じて著作権に詳しい弁護士などの専門家へ相談するのが安全です。

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