なぜ若者の「山手線一周ウォーキング」がInstagram・TikTokで流行?女子の動画が多く見える理由も解説

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2026年春から夏にかけて、InstagramのリールやTikTokなどで「山手線を徒歩で一周してみた」という若者の動画を見かける機会が増えています。駅名標の前で写真や動画を撮りながら、東京駅、新宿駅、渋谷駅、池袋駅、上野駅などを順番に巡り、最後に完歩を報告するというスタイルです。

実際、この流行は気のせいだけではありません。2026年7月にはBusiness Insider Japanが若者の「山手線一周」を取り上げ、Instagramで「#山手線一周」を検索すると5000件以上の投稿があると報じています。記事の取材でも、大学生が若い女性インフルエンサーたちの山手線一周リールを見たことをきっかけに挑戦しています。

一方、「女子ばかりやっているように見える」という印象については注意が必要です。女性グループの投稿が実際に目立つ傾向はありますが、山手線一周をする人全体の男女比を示す公的な統計は確認できません。InstagramやTikTokのおすすめ表示には利用者ごとの興味関心も反映されるため、「動画で女子を多く見た」ことと「実際の挑戦者の大半が女子」であることは同じではありません。本記事では、なぜ山手線一周ウォーキングが今の若者に流行しているのかを整理します。

2026年に「山手線一周ウォーキング」は実際に流行している

山手線を徒歩で一周する遊び自体は以前から存在し、鉄道ファンやウォーキング愛好家の間では昔から行われていました。ただし2026年は、それがより一般的な若者のグループ遊びとしてSNSへ広がっているのが特徴です。

Business Insider Japanは2026年7月の記事で、東京駅などを起点に山手線全30駅を歩く「山手線一周」を若者の間で広がるウォーキングとして取り上げています。記事では大学生7人が約55kmを歩き、朝7時半から夜23時までかけて一周しています。

[参照] Business Insider Japan:なぜ今、若者は「歩く」のか——山手線一周55kmを歩いてみた

また2026年5~6月には、実際に山手線一周へ挑戦した複数の体験記事が公開されています。「以前は同じ挑戦者をほとんど見なかったが、今回は1日で何十組も見かけた」という体験談もあり、少なくとも2026年春以降に挑戦者が目立って増えている様子がうかがえます。

Instagramのリールが「次の人」を生む構造になっている

今回の流行で大きいのが、InstagramのリールやTikTokの短尺動画との相性です。山手線は一周の過程に「30駅」という分かりやすいチェックポイントがあります。

JR東日本によると、山手線は全30駅で構成されています。この30駅を一つずつ撮影すれば、それだけで動画に起承転結を作れます。

[参照] JR東日本 JREメディア:山手線の停車駅一覧

例えば「東京駅スタート→5駅目→半分到達→足が痛くなる→あと3駅→ゴール」という流れだけで一本のショート動画になります。特別な企画を考えなくても、歩いているだけでストーリーが自然に生まれるのです。

「駅名標で毎回撮る」という分かりやすいフォーマットがある

山手線一周動画では、各駅へ着くたびに駅名標を背景に写真や動画を撮る形式がよく見られます。このルールがSNSとの相性をさらに高めています。

例えば30駅すべてで同じポーズを撮れば、テンポよくつなぐだけで「山手線30駅チャレンジ動画」が完成します。友達同士なら、駅ごとにポーズを変えたり、疲れていく様子を残したりすることもできます。

山手線には新宿、渋谷、原宿、恵比寿、東京、上野など、SNS上でも認知度の高い駅が多数あるため、「次は渋谷」「原宿到着」と画面を切り替えるだけでも視聴者が場所を理解しやすいという強みがあります。

普通の散歩より「達成感」が分かりやすい

若者の間で流行する理由として、「ただ歩く」より目標が明確であることも大きいと考えられます。「今日は20km歩こう」ではゴール地点が抽象的ですが、「山手線を一周する」なら誰にでも達成条件が分かります。

しかも山手線は円になっているため、出発した駅へ自分の足で戻ってくるという分かりやすい達成感があります。「完歩した」という結果もSNSへ投稿しやすくなります。

体験者の投稿でも、友人同士で「やってみたい」と軽いノリから始めた例が多く見られます。マラソン大会のように申し込みや参加費が必要なわけではなく、友達と予定を合わせるだけで始められる点も参加のハードルを下げています。

お金をあまりかけずに一日遊べるのも大きい

東京で友人同士が一日遊ぼうとすると、テーマパーク、レジャー施設、カフェ巡りなどではそれなりの費用がかかります。山手線一周ウォーキングは、基本的には歩くだけなので高額な参加費がありません。

必要なのは飲み物、食事、休憩時のカフェ代程度です。東京に住んでいる人ならスタート地点までの交通費だけで参加できます。

特に学生にとって、「一日友達と遊べる」「写真や動画も大量に残る」「達成感もある」「それほどお金がかからない」という条件がそろうのは魅力的です。

「いつもの東京を観光する」という感覚もある

山手線一周の面白さは、観光地だけを巡ることではありません。普段は電車で通り過ぎる駅と駅の間を歩くことで、知らなかった街を発見できます。

例えば渋谷から新宿へ移動するとき、普通なら電車へ乗れば数分です。しかし徒歩で原宿、代々木を経由すると、それぞれの街並みがどのようにつながっているかを体感できます。

参加者の体験談でも、「街並みを見るのが面白い」「普段降りない駅を知れる」といった要素が繰り返し挙げられています。単なる長距離運動ではなく、都市観光・街歩きとして楽しめることも流行の理由です。

「デジタル疲れ」から歩くこと自体を楽しむ若者もいる

若い世代が長距離ウォーキングを楽しむ背景には、常にスマートフォンやSNSを使う生活への反動もあると指摘されています。

Business Insider Japanの記事では、若者が長時間歩く理由について、友人との会話、達成感、普段とは異なる街の発見などが紹介されています。歩いている十数時間は、スマートフォンを見続ける時間とは異なる体験になります。

とはいえ完全な「デジタル離れ」ではありません。歩いている途中で写真や動画を撮り、最後はSNSへ投稿するため、「リアルな長時間体験」と「SNSで共有する楽しさ」が組み合わさっているのが現代的な特徴です。

「伊能忠敬界隈」のような長距離歩行文化ともつながっている

2026年のSNSでは、長時間歩くことそのものを楽しむ投稿も目立っています。Xでも山手線一周徒歩チャレンジが複数のコミュニティで話題になり、長距離歩行を楽しむ若者が増えています。

ネット上では長距離を歩く人を冗談めかして「伊能忠敬界隈」と呼ぶ例もあります。日本地図作成のため全国を歩いた伊能忠敬になぞらえたSNS的な表現です。

山手線一周は「長距離を歩いてみたい」という人にとっても、ルートが分かりやすく、途中でコンビニや飲食店、駅が多数あるため挑戦先として選びやすい環境です。

山手線だから途中でやめやすいのも重要

40km以上の長距離ウォーキングと聞くと非常にハードですが、山手線一周には普通の長距離コースにはない大きな利点があります。それは、ほぼ常に鉄道駅の近くを歩いていることです。

足が痛くなったり、体調が悪くなったりした場合は、近くの山手線駅から電車に乗って帰れます。山奥の長距離コースとは違い、途中離脱のハードルが低いのです。

またコンビニ、飲食店、カフェ、トイレなども沿線に多数あります。この「過酷そうに見えるのに実際には途中離脱しやすい」というバランスが、初心者や学生グループにも挑戦しやすい理由の一つです。

なぜ「女子ばかり」に見えるのか?

InstagramやTikTokで女性グループの動画が目立つのは事実としてあり得ます。実際、Business Insider Japanの記事でも、流行を知るきっかけとして「若い女性インフルエンサーたちが山手線一周をしているリール」が紹介されています。

ただし、山手線一周ウォーキング参加者全体について「女性が男性より何%多い」という統計は確認できません。そのため、「女子の間だけで流行している」と断定することはできません。

実際、Xや体験ブログを見ると男性の単独参加、男女グループ、社会人、ランニング・ウォーキング愛好家など幅広い人が挑戦しています。SNSで女性だけ目立つ理由には別の要因も考える必要があります。

Instagram・TikTokのおすすめ表示による偏りもある

InstagramやTikTokでは、すべての投稿が平等に表示されるわけではありません。過去に見た動画、長く視聴した投稿、「いいね」した内容などによって、似た動画がおすすめされやすくなります。

例えば女子大学生や若い女性グループの山手線一周動画を一度最後まで見ると、同様の動画が連続して表示されることがあります。すると実際の投稿全体の男女比とは関係なく、「山手線一周をしているのは女子ばかり」という印象になり得ます。

これはファッション、旅行、カフェ、恋愛など他のジャンルでも同じです。SNSで自分に見えているタイムラインは、社会全体をそのまま映しているわけではありません。

女性グループのほうが「動画として成立しやすい」面もある

山手線一周は友達同士で同じ服装やポーズをそろえたり、駅ごとに撮影したりすることで、動画自体を一種の思い出作品として作れます。

Instagramでは友人グループの日常、旅行、カフェ巡り、制服・大学生活などを動画にまとめる文化があります。その延長として「友達4人で山手線一周してみた」という企画が投稿されやすい可能性があります。

これは女性のほうが実際に多く歩いているという証拠ではなく、「挑戦した人の中で誰が積極的にリールやTikTokへ投稿するか」の差も含まれます。

「女子の動画が伸びやすい」ことと参加者数も別問題

同じ山手線一周でも、「40代男性が黙々と一周した記録」と「大学生女子4人が各駅でポーズを変えながら一周した動画」では、TikTokやInstagram上で拡散される層が異なります。

後者は友人関係、ファッション、東京観光、チャレンジ動画など複数の要素を含むため、ウォーキングに興味がない人にも見られる可能性があります。

その結果、実際には男性も多数挑戦していても、SNSで大きく拡散される動画だけを見ると若い女性グループに偏って見えることがあります。

山手線一周は実際にはどれくらい歩く?

注意したいのは、電車の山手線一周の営業キロと、徒歩で駅を結んだ場合の距離は同じではないことです。道路は線路沿いに完全には通っていないため、歩行ルートによって40km台から50kmを超えることがあります。

2026年の体験記事では46km前後、Business Insider Japanの実走では55km、別の参加者では約6万歩以上という例があります。

所要時間も10~15時間程度になるケースが珍しくなく、「ちょっと長い散歩」というより一日がかりの長距離ウォーキングです。

30駅を全部回る「スタンプラリー感」も人気の理由

山手線一周にはスタンプラリーに近いゲーム性があります。駅へ到着するたびに「1/30」「2/30」と進行度が増えるため、疲れていても小さな達成感を繰り返し得られます。

例えば普通の40kmウォーキングなら、20km地点まで大きなイベントがないかもしれません。しかし山手線なら数十分ごとに次の駅があります。

「あと10駅」「ついに渋谷」「残り3駅」とSNSへ投稿することもできるため、長時間企画でも視聴者を飽きさせにくい構造になっています。

友達との「青春イベント」にしやすい

若者の投稿では、単純な運動記録というより「友達と一日何か大変なことをやった」という思い出作りとして山手線一周を楽しんでいる例が多く見られます。

途中で食事をしたり、コンビニで休憩したり、足が痛くなって励まし合ったりする出来事まで含めて一つのイベントになります。

卒業旅行ほど費用も準備も必要なく、それでも通常のカフェや買い物より強い思い出が残るため、大学生や高校卒業後の友人グループなどにも広がりやすい企画といえます。

春から初夏に流行が加速したのは気候も関係している

2026年の投稿を時系列で見ると、ゴールデンウィーク前後から5月、6月にかけて山手線一周の体験投稿が多く確認できます。

この時期は真夏と比べて長時間歩きやすく、学生の春休み明けや大型連休など友人同士で予定を合わせやすい時期でもあります。先に挑戦した人の動画がSNSへ投稿され、それを見た別のグループが翌週・翌月に挑戦することで流行が連鎖したと考えられます。

ただし7月・8月の東京で40km以上歩くのは熱中症の危険が非常に高いため、SNSで流行しているからといって真夏の日中に安易に挑戦するのは避けるべきです。

真夏に挑戦する場合は流行より安全を優先する

山手線一周は都市部なので安全そうに見えますが、40~50kmを10時間以上歩けば身体への負担は大きくなります。特に夏は熱中症、脱水、靴ずれ、筋肉痛などに注意が必要です。

体調がおかしいと感じたら「あと数駅だから」と無理をせず、近くの駅から電車で帰るのが適切です。完歩をSNSへ投稿することより体調のほうが重要です。

また夜間まで歩く場合は、一人にならない、暗い道を避ける、スマートフォンの充電を確保する、家族などへ予定を知らせておくといった基本的な安全対策も必要です。

この流行は「SNSが作った観光+チャレンジ」と考えると分かりやすい

山手線一周ウォーキングが若者に広がった理由を一つだけに絞ることはできません。「健康志向だから」「節約だから」だけで説明するのは不十分です。

実際には、無料に近い・友達とできる・東京観光になる・30駅というゲーム性がある・達成感がある・写真を大量に撮れる・動画のストーリーを作りやすいという複数の条件が重なっています。

そこへInstagramリールやTikTokで先行する若者の動画が流れ、「楽しそうだから自分たちもやろう」という模倣が起きることで、2026年に一気に可視化されたと見るのが自然です。

まとめ:山手線一周はSNS向けの条件がそろった「一日チャレンジ」として流行している

2026年のInstagramやTikTokで若者による山手線一周動画が増えているのは、単なる印象ではありません。Business Insider Japanも2026年7月にこの現象を取り上げ、Instagramの「#山手線一周」には5000件以上の投稿があると紹介しています。

流行の理由としては、山手線30駅という分かりやすいゴール、駅名標での撮影、東京の街歩き、友達との達成感、低コスト、途中離脱のしやすさ、そして短尺動画へ編集しやすいストーリー性が挙げられます。先行するリールを見た若者が次々と真似することで、流行がさらに広がっています。

「女子ばかりに見える」点については、若い女性グループの山手線一周リールが流行の一部を担っていることは確認できます。ただし、挑戦者全体の男女比を示す信頼できる統計はありません。男性や男女混合グループの参加例も多数あり、InstagramやTikTokのおすすめアルゴリズム、誰が積極的に動画を投稿するか、どの動画が拡散されやすいかによって女性中心に見えている可能性もあります。

したがって、現在の現象は「女子だけのブーム」というより、若者を中心に広がった長距離街歩きが、特にSNS映えする女性グループの動画を通じて可視化されていると捉えるのが適切です。なお徒歩では40~50km以上になることもあり、10時間を超える本格的な長距離ウォーキングです。特に真夏は熱中症リスクが高いため、挑戦する場合はSNSの流行よりも天候・体力・安全を優先する必要があります。

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