Webサイトを閲覧すると、通信の仕組み上、接続先のWebサーバーなどにはアクセス元のIPアドレスが伝わります。そのため「サイト運営者に住所まで分かるのではないか」「同じサイトを何度も見たら自分だと気付かれるのではないか」と心配になることがあります。
ただし、WebサーバーにIPアドレスが伝わることと、Google Analytics(GA4)の管理画面でサイト運営者が訪問者の生のIPアドレスを確認できることは別の話です。また、IPアドレスから推定できる地域情報にも限界があり、通常は住所や氏名を直接特定できるものではありません。
ここでは、Webサイトを訪問したときにIPアドレスがどのように扱われるのか、Google Analyticsでサイト運営者に何が見えるのか、市区町村レベルの地域情報や個人の特定がどこまで可能なのかを整理します。
Webサイトを閲覧するとIPアドレスは接続先に伝わる
インターネット通信では、Webサイトから閲覧者の端末へデータを返すためにIPアドレスが利用されます。そのため、通常のWebアクセスでは接続元のIPアドレスを完全に隠した状態で直接通信しているわけではありません。
Webサーバーでは、設定によってアクセスログに接続元IPアドレス、アクセス日時、要求されたページ、ブラウザなどに関する情報が記録される場合があります。したがって、「サイトを開けばIPアドレスそのものが一切相手側に伝わらない」という理解は正確ではありません。
一方で、IPアドレスは一般に氏名や自宅住所そのものではありません。「203.xxx.xxx.xxxというIPアドレスだから、この人物は○○市○○町○番地に住んでいる」と一般のサイト運営者がIPアドレスだけから判断できるわけではありません。
Google Analyticsで訪問者のIPアドレスを直接確認できるわけではない
ここで区別しておきたいのが、WebサーバーのアクセスログとGoogle Analyticsです。現在一般的に利用されているGoogle Analytics 4(GA4)では、GoogleがIPアドレスを位置情報の算出などに利用することはありますが、収集したIPアドレスをログとして記録・保存する仕組みではなく、サイト運営者がGA4の通常のレポートから訪問者の生のIPアドレスを一覧表示することもできません。
したがって、「Google Analyticsを設置しているサイトなら、管理者が訪問者一人ひとりのIPアドレスを見られる」という認識は正確ではありません。GA4ではユーザー数、セッション、閲覧ページ、流入元、端末カテゴリー、地域など、アクセス状況を分析するための情報が中心となります。
ただし、Google AnalyticsでIPアドレスを直接見られないからといって、サイト側にIPアドレスが一切残らないという意味でもありません。前述したWebサーバーのログ、CDN、セキュリティサービスなど、Google Analyticsとは別のシステムでIPアドレスが処理・記録される場合があります。
IPアドレスから市町村まで分かることはある?
IPアドレスを基にした「IPジオロケーション」と呼ばれる技術では、おおまかな地域を推定できる場合があります。国や都道府県だけでなく、市区町村相当の地域として推定結果が表示されるサービスもあります。
しかし、IPアドレスによる位置推定はGPSのような正確な現在地情報ではありません。インターネット回線事業者の設備やIPアドレスの割り当て状況などを基に推定するため、実際に住んでいる市町村とは異なる地域が表示されることがあります。
例えば実際には大津市から自宅回線でアクセスしていたとしても、IP位置情報データベース上で必ず「大津市」と判定されるとは限りません。近隣地域や別の都市として推定される場合もあり、反対に偶然正しい市区町村が表示される可能性もあります。
スマートフォン回線では位置推定がさらに分かりにくい場合がある
スマートフォンの4G・5G回線では、通信事業者のネットワーク設備を経由してインターネットへ接続します。このためIPアドレスから推定される場所と、スマートフォンを実際に使用している場所が一致しないことがあります。
自宅の固定回線についても同様で、IPアドレスが示す位置情報は「そのIPアドレスを使用している端末の正確な住所」を意味するものではありません。IP位置情報データベースごとに推定結果が異なるケースもあります。
また、VPNや企業・学校などのネットワークを経由すれば、外部から見える接続元が実際に端末のある場所からさらに離れる場合があります。そのため、IPアドレスから得られる位置情報だけを使って居住地を断定するのは適切ではありません。
同じサイトを何度も訪問すると知人に自分だとバレる?
一般的なGoogle Analyticsのレポートを見ただけで、「このアクセスは○○さんだ」と実名まで自動的に表示されるわけではありません。アクセス回数が多かったという理由だけで、Google Analyticsがその閲覧者の氏名や自宅住所をサイト運営者へ知らせることもありません。
例えばサイト運営者が「ある地域からアクセスがあった」という情報を確認できたとしても、その地域には通常多数の人がいます。その情報だけで特定の知人がアクセスしたと断定することは困難です。
ただし、「絶対に誰にも推測されない」とまでは言い切れません。サイトへのログイン、問い合わせフォームへの入力、本人専用URLへのアクセスなど、閲覧以外の情報と組み合わされれば、運営者が訪問者を識別できるケースがあります。
IPアドレスだけでは通常は氏名や番地まで分からない
一般のサイト運営者がIPアドレスを取得できた場合でも、それだけを見て契約者の氏名や自宅の番地まで確認できるわけではありません。インターネットサービスプロバイダーが持つ契約者情報と、公開されているIP位置情報は別物です。
つまり「IPアドレスが分かる=自宅住所が分かる」という関係ではありません。IPアドレスから取得できる公開情報や推定情報と、通信事業者が保有する契約者情報を混同しないことが大切です。
もちろん、法令に基づく正式な手続きなど一般的なサイト閲覧とは異なる場面は別です。通常のWebサイト管理者がGoogle Analyticsを眺めるだけで訪問者の契約者情報を取得できる、という仕組みではありません。
Google Analyticsの地域情報も「住所情報」ではない
GA4では国や地域、都市などの地理的なディメンションをアクセス分析に利用できます。しかし、これは訪問者が住所欄に入力した自宅住所を表示しているわけではありません。
そのため、Google Analytics上に特定の都市名が表示された場合でも、「その人がその市に住んでいる」とまでは判断できません。旅行中、勤務先、学校、ホテル、公共Wi-Fiなどからアクセスしている可能性もあります。
Webサイトのアクセス解析で得られる「アクセスした場所」と「その人が住民として居住している場所」は別の情報だと考えると理解しやすくなります。
アクセス解析について理解しておきたいポイント
Webサイトを閲覧するときのプライバシーを考える際は、「サーバーが受け取る情報」「アクセス解析サービスが管理者へ提供する情報」「IPアドレスから推定可能な情報」を分けて考えることが重要です。
サイト側には通信上IPアドレスが伝わる一方、GA4の管理画面で生のIPアドレスを訪問者ごとに確認できるわけではありません。また、市区町村相当の地域が推定される場合があっても、それはGPSによる正確な現在地や自宅住所ではありません。
サイトによって導入しているアクセス解析・広告・セキュリティツールは異なるため、どのようなデータを収集しているか詳しく知りたい場合には、そのサイトのプライバシーポリシーやCookieに関する説明を確認するのも有効です。
まとめ|IPアドレスが伝わっても住所や本人がそのまま分かるわけではない
Webサイトへのアクセスでは、通信の仕組み上、接続先のサーバーなどにIPアドレスが伝わります。しかし、Google Analytics 4の通常の管理画面でサイト運営者が訪問者の生のIPアドレスを閲覧できるわけではありません。
IPアドレスから国・地域・都市などがおおまかに推定されることはありますが、結果には誤差があります。市町村が正しく推定される場合があったとしても、そこから自宅の番地や氏名まで自動的に分かるものではありません。
同じサイトを何度も閲覧したという事実だけで、一般的なGoogle Analyticsのレポートから知人本人だと特定されるとは考えにくいでしょう。ただし、ログイン情報や本人しか知らないURLなど別の識別情報が存在するケースは事情が異なるため、IPアドレス単独の場合と分けて考えることが重要です。


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