インターネット上ではCookieだけでなく、指紋情報(フィンガープリンティング)を利用した追跡が増加しています。Firefoxには「Enhanced Tracking Protection(強化型トラッキング防止)」という機能が標準搭載されており、これによりユーザーのプライバシー保護が大きく向上しています。この記事では、Enhanced Tracking Protectionがどのように指紋追跡などの高度なトラッキング対策を行っているのか、その仕組みと活用法をわかりやすく解説します。
Enhanced Tracking Protection(ETP)とは
Enhanced Tracking Protection(ETP)は、Mozilla Firefoxに標準搭載されているトラッキング防止機能です。2019年からデフォルトで有効化されており、知らず知らずのうちにユーザーを追跡する広告・解析スクリプトをブロックします。
特に、サードパーティCookieによるユーザー行動追跡を自動で検知し、ブロックする機能が強化されています。また、Mozillaはユーザーの操作を必要としない「自動保護」を重視しており、一般ユーザーでも簡単に高いレベルのプライバシー保護を受けられます。
ETPはCookie以外の追跡手段にも対応しており、Web上の高度なトラッキングにも対抗する仕組みを備えています。
フィンガープリンティング(指紋追跡)とは
フィンガープリンティングとは、ブラウザやデバイスの情報(OS、画面サイズ、フォント、言語設定、インストール済みプラグインなど)を組み合わせてユーザーを特定する技術です。
Cookieのように明示的なデータ保存を伴わないため、従来のCookieブロック機能では防げないことが問題とされてきました。
例えば、複数のサイトを移動したときにブラウザの構成情報が同一であれば、ユーザーを識別することが可能になります。広告業界や解析サービスでは、この技術を利用して匿名化されていないトラッキングを行うケースがあります。
Firefoxがフィンガープリンティングに対抗する仕組み
Firefoxは、ETPに加えてフィンガープリンティング対策をブラウザ内部に組み込んでいます。具体的には、既知のフィンガープリンティングスクリプトをブロックするリストを利用し、自動的に防止します。
また、ブラウザの構成情報を一部「標準化」することで、個々のユーザーの環境差を小さくし、特定されにくくする技術も活用しています。たとえば、フォント情報やキャンバス(Canvas)APIの挙動を制限するなどの対策が含まれています。
この対策により、多くの指紋追跡スクリプトは機能しなくなります。
ETPのレベル設定と指紋追跡対策
FirefoxのETPは、「標準」「厳格」「カスタム」の3つのレベルから選択できます。
- 標準:バランス型でほとんどのトラッカーをブロック
- 厳格:フィンガープリンティングや暗号通貨マイニングスクリプトも積極的にブロック
- カスタム:自分でブロック対象を細かく設定可能
特に「厳格」モードに設定することで、フィンガープリンティング対策が強化され、指紋追跡による識別リスクを大幅に軽減できます。
設定はアドレスバーの右端にある盾アイコンから簡単に切り替えることが可能です。
フィンガープリンティング対策をさらに強化する方法
ETPだけでも高い防御力を持ちますが、さらに強化する方法もあります。たとえば、Firefoxのプライバシー設定で「RFP(Resist Fingerprinting)」を有効にすることで、より強力な匿名化が可能です。
- 1. アドレスバーに
about:configと入力 - 2.
privacy.resistFingerprintingを検索 - 3. 値を
trueに設定
この設定を有効にすると、ブラウザの振る舞いがさらに標準化され、識別困難になります。ただし、一部のサイト表示に影響が出ることがあるため、用途に応じて設定するのがよいでしょう。
広告ブロッカーとの併用でさらに安心
ETPは非常に強力ですが、広告ブロッカー拡張機能(uBlock Originなど)と併用することで、より包括的なトラッキング対策が可能になります。
広告スクリプト、解析タグ、フィンガープリンティングスクリプトなどを多層的にブロックすることで、企業によるデータ収集を最小限に抑えることができます。
また、VPNやDNSフィルタリングを併用することでネットワークレベルでの追跡対策も強化できます。
まとめ:FirefoxはCookieだけでなくフィンガープリンティングにも対応
FirefoxのEnhanced Tracking Protectionは、従来のCookieブロックを超えた高度なトラッキング対策機能です。特に「厳格」モードやRFP設定を活用することで、指紋追跡(フィンガープリンティング)による識別を大幅に防ぐことが可能です。
プライバシー保護を重視するユーザーにとって、Firefoxは非常に強力なブラウザの一つといえるでしょう。必要に応じて広告ブロッカーやVPNなどを併用すれば、より高い匿名性とセキュリティを確保できます。


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