セキュリティアラートの調査と対応は、企業のIT環境を守るために重要な作業です。特に大量のアラートが発生する場合、効率的かつ効果的な対応が求められます。本記事では、セキュリティアラートの調査方針とその対応方法について、実例を交えて解説します。
セキュリティアラート調査の基本方針
大量のセキュリティアラートが発生する状況においては、まずそのアラートが実際にリスクを伴うものかどうかを評価することが重要です。調査の基本方針としては、アラートを一つ一つ詳細に分析し、リスクが高いものを優先的に対応することが求められます。
まず、アラートの発生状況を記録し、傾向を把握することが第一歩です。特に、休日にアラートがほとんどゼロになる場合、社内作業や内部の問題が原因である可能性が高いと考えられます。この現象を踏まえ、アラートの優先順位を明確にし、対応方針を策定することが大切です。
アラート優先順位の付け方
セキュリティアラートには、クリティカル、High、Medium、Lowという優先度がつけられます。クリティカルなアラートは必ず調査して安全を確認し、Highのアラートは優先度の高いものから順次対応します。
MediumやLowのアラートについては、基本的に監視を続けつつ、後回しにすることが多いです。ただし、これらのアラートも放置せず、定期的に確認し、必要に応じて対応するようにします。
内部通信の判断基準
内部通信が原因でアラートが発生する場合もあります。そのため、送信元や宛先のIPアドレスがプライベートIPであるかどうかをまず確認することが重要です。
補助的に、ポート番号やプロトコル、VLANやFWインターフェース、発生タイミング(業務時間内かどうか)なども確認し、社内作業によるものかどうかを推定します。これにより、不必要な調査を避け、必要な調査に集中することができます。
代表的な危険ポートとそのリスク
セキュリティアラートを調査する際には、代表的な危険ポートについても把握しておくことが重要です。以下のポートは特にリスクが高いため、注意が必要です。
ポート番号 | プロトコル | 用途 | 注意点 |
---|---|---|---|
21 | TCP | FTP | 平文通信のため、認証情報が盗まれやすい |
22 | TCP | SSH | リモートログインに使われ、パスワード推測攻撃に狙われやすい |
80 | TCP | HTTP | Webサーバーへの脆弱性攻撃や不正アクセスの対象 |
445 | TCP | SMB | 過去にWannaCryなどのマルウェアに悪用された |
3389 | TCP | RDP | リモートデスクトップで、ブルートフォース攻撃に狙われやすい |
これらのポート番号に対するアラートは、特にリスクが高いため、詳細に調査し、必要に応じて対応を行う必要があります。
セキュリティアラート調査の簡易フロー
セキュリティアラートの調査は、以下の簡易フローに基づいて行うと効率的です。
- まず、アラートの送信元および宛先IPを確認します。プライベートIPであれば社内通信の可能性が高いです。
- 次に、ポート番号やサービスを照合し、内部専用サービスであるかを確認します。
- 最後に、発生状況を確認し、社内作業や誤検知である可能性が高いかを推定します。
これらの手順を踏むことで、アラートの真偽を効率よく判断できます。
まとめ
セキュリティアラートの調査は、事実に基づいた報告とリスク評価を行い、優先順位をつけて対応することが重要です。クリティカルなアラートは必ず調査し、Highはベストエフォートで対応、MediumやLowは監視を続けつつ後回しにするという方針が理想的です。アラート調査の効率化のためには、簡易フローを用いて確認作業を行い、必要に応じて対応を進めましょう。
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